手作りのポテトチップス
私の料理への情熱が芽生えたのは、15歳か16歳の頃。
「からあげの思い出」に書いた通りです。
https://note.com/harapekochan/n/n6e3a9c026b13
手作りのおやつに感動したのが、11歳か12歳頃だったと思います。
週末、おばの家にお泊まりすることは、私にとって癒しの時間でした。
きちんと整頓された部屋。清潔な空間。丁寧に作ってくれる食事。一緒に編み物をしたり、ぬり絵をしたり。やりたいことを中断されることなくできる喜び。ゆったりとした時間が流れます。
おばが台所で何かを始めた様子。覗いてみるとじゃがいもを持っています。
おやつにポテトチップスを作ると言っています。
ポテトチップスはお店で買うもの、と思っていた私には驚きでした。
子どもの私には、お店で売っているものが家で作れるという概念がありません。
おばの発想や行動にワクワクしてしまいます。
むいたじゃがいもをスライサーで薄くスライス。
この時初めてスライサーという道具を知りました。
自宅にはない道具です。
薄くスライスされたじゃがいもは、水を張ったボウルに次々と滑り落ちていきます。ボウルの水がだんだん白っぽく濁っていくのがわかります。
今度は水に浸かったじゃがいもを取り出して、清潔な布巾で水分を吸い取ります。一枚一枚丁寧に水気を拭き取っていきます。
そして、水気を拭き取ったじゃがいもを油の中にそっと入れるのです。
しゅわしゅわしゅわ〜と、じゃがいもが油の中で静かに踊り始めました。
やがて、きつね色になったじゃがいもが油の上に浮いてくると、
おばは、じゃがいもを網ですくってトレーに移しました。
トレーで油を切ってから、じゃがいもはキッチンペーパーに移されました。
キッチンペーパーにのせると、じゃがいもからほんのり油がにじんできます。
じゃがいもに塩をふりかけたら、ポテトチップスの完成です。
初めて食べる手作りのポテトチップス。
ほんのりあたたかいポテトチップス。
端っこのうす〜いところは、パリパリッといい食感。
たまに厚みのあるところは、じゃがいもの甘みと歯ごたえを感じます。
丁寧に作られたポテトチップスに、お腹も心も満たされました。
あのポテトチップスを食べた時の幸福感。
大きくなったら、いつか誰かに作ってあげたい。
手作りのポテトチップスには不思議な力が宿っていました。
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