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映画感想文『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』くそったれの世界

どうも、ササクマです。本当にお久しぶりです。1年ぶりの投稿となっております。

久しぶりすぎて文章の書き方を忘れました。今回はリハビリも兼ねて、自信満々な「映画評」ではなく、「映画感想文」という体裁でお願いします。ネタバレ全開です。

プライドを捨ててまで感想文を書きたくなった作品は、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』です。前作『JOKER』から5年ぶりの続編となっています。

『JOKER』の映画評については書いてあるので、ぜひ一読ください。

さてさてさて、衝撃的なラストを飾った『JOKER』の続編ということで、期待に満ちて見に行った『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』なのですが…………

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いやぁ~~、最高☆でしたね!!(自分の立ち位置を明確にする)

本作の評価は低いらしく、つまらなくて期待外れだったという声もあります。確かに最後は派手にブチかませよと、見ていてフラストレーションが溜まりましたが、『JOKER』の続編でしか伝えられなかったテーマだったとも思います。

かと言って、悪のカリスマを格好良く写したことの反省だとか、ジョーカーの信望者たちに冷水を浴びせたことの価値だとか、そんなインテリが喜びそうな感想を書くつもりは毛頭ありません。

でも、ジョーカーに肩入れするのも違うよね。っていう、どっちつかずな観点から、わたしなりに感じたことを書きます。


◯ 生のリアリティ


前作、アーサーからジョーカーへと変貌した過程で、彼は生に対するリアリティを失っていました。何もかもに見捨てられて現実が嘘臭くなり、別に生きたいとも死にたいとも思いません。

それが今作ではジョーカーからアーサーへと戻る契機として、彼は生きたいと願ってしまったのです。リーに妊娠を告げられ、仲の良かった囚人が殺され、急に死ぬのが怖くなりました。

ジョーカーのままでは死刑待ったなしなので、彼は罪を自白してアーサーに戻ろうとしますが、そんなことで連続殺人が許されるわけもありません。

仮に戻れたとして、平穏な日常生活は望むべくもないし、リーや他の人々は可哀想な不遇おじさんに興味関心は無いのでした。


◯ ジョーカーとしての立ち居振る舞い


人々から興味関心を得たいがためにジョーカーを演じる構図って、映画の中だけの話じゃないですよね?

お笑い芸人やYouTuberは勿論、友達や恋人どころか、会社の飲み会やプレゼンの時だって、ジョーカー(ピエロ)であることを求められませんか? その場を盛り上げるために、ピエロを演じざるをえない状況が社会生活の中で何度も作り出されます。

ギャグセンスが抜群なら立場は守られるのですが、おもしろくないと本当に悲惨です。素の自分を犠牲にするような、破滅的なギャグでないと笑いをとれません。一時の承認欲求を満たすために、一世一代の大ボケをかますにはリスクがデカすぎです。

で、アーサーのギャグセンスは皆無。本作の法廷でも何か狙ってましたが不発に終わり、扇動者のような宣言に切り替えました。つまらないからこそジョーカーの不気味さが際立つものの、化けの皮が剥がれてしまえば看守にボコボコと殴られてしまいます。

そういう意味では誰でもジョーカーになれるし、どこにもジョーカーはいないのですが、やはりジョーカーたりえる悪運の強さとか、求心力を持っている人間は稀有だと思います。


◯ 妄想とエンドロール


前回の『JOKER』評では本編そのものが妄想だ!と啖呵を切りましたが、続編では事実として扱われている以上、全部が妄想なわけありませんね。

その点に関しては見逃してほしいものの、監督も脚本も同じなので、伝えたいことが大きく異なることはないはずです。

本作でも妄想や歌が重要なポイントとなってます。各所に差し込まれた妄想はミュージカルのようになっており、とんでもない歌唱力と演奏をバックにタップダンスを踊ってました。アーサーよ、舞台演出家を目指せ。

さんざん歌って踊って妄想した挙句、追い込まれた終盤では歌を聴くことさえ嫌になってしまいます。目の前に突きつけられた非情な現実に対して、妄想や歌は無力で、あまりにも嘘臭く感じてしまうのでした。

しかし真っ暗なエンドロールにて、なんだか場違いな歌詞の曲が流れます。アーサーが歌う「True Love Will Find You in The End」です。

もともとはアメリカのシンガーソングライター、ダニエル・ジョンストンがリリースした曲です。歌詞の一部を和訳して抜粋します。

悲しむことはないよ
僕には分かってるから
でもその時までは
最後に真の愛が君を見つけるまでは
どうか諦めないで

暗闇の映画館で曲を流し、観客に妄想させようとする試みでしょうか? 映画を観終わって失望していたのに、恋人と出会う素敵な未来をイメージしてしまいます。

これが歌と妄想の力でしょう。

現実の前には無力かもしれませんが、素の自分を犠牲にしないよう、最後の最後まで引き止めていたのは歌と妄想です。自暴自棄にならず、真の愛を探し続けなきゃ。

それにね、独身男性の悩みなんてね、恋人ができればコロッと解決するんだから。アーサーが良い例であり、悪い見本だよ。

誰からも愛されないのは辛いけど、どうせなら新しく愛を見つけるまでの過程も楽しまない? 気兼ねなく合コンとか、マッチングアプリの出会いとか、風俗に行くのも最高じゃん。無責任なこと言ってます。

最後にThe Birthdayの「くそったれの世界」でも聴いて、本文の締めとしましょう。

どんなに理不尽な現実でも、歌を聴いて、妄想して再起して、ささやかな日々の喜びを愛おしいと感じていきたいです。


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ササクマ
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