やっぱりこのゴミは収集できません

『やっぱりこのゴミは収集できません』を読んだ。

スルスル読める。難しい言葉は使われていないのに、難しい問題を読者に提起している。しかも所々で笑かしにかかってくる。文字だけでここまで笑わせてくる、さすがお笑い芸人、油断ならない。

著者:滝沢秀一〈マシンガンズ〉

お笑い芸人は副業と本の筆者紹介に書いてある。だけどお笑い芸人じゃなければ、彼の本を読むことが出来なかったのかもしれない。あとラジオも面白い。

冒頭でゴミ清掃員になるまでについて語られている。妻が第二子出産後に産後うつになり入院したり、ゴミ清掃を通じて世の中を視ることを触れている。

もういきなり気になる。妻のことが気になる。読み進めるうちに妻と子の元気そうな描写があって安心した。

読み始める前は「怖いもの見たさ」という気持ちが強かった。知らない世界の人の擬似体験をしたい。そんな意味で興味を持っていた。

実際、第3章では怪事件について触れられている。気になる人は買って読んで欲しい。びっくりするから。ホントに怪事件だから。

第10章は食品ロスがテーマになっている。お中元の時期に未開封のゼリーや手をつけられていないメロンがそのままゴミとして回収に出されていたらしい。

我が親族の贈答品事情


やっぱりお中元とお歳暮は廃止したほうがいい。心底そう思った。特に親世代はいまだに贈り物合戦をしている。

帰省した時にハムや缶詰、ゼリーやコーヒー、和菓子、焼き菓子、ちょっと珍しいレトルト品をお土産としてもらう。

たまに賞味期限が切れていることもある。食べ物を捨てる罪悪感から贈答品を私の家庭は横流ししてくる。缶詰は切れても一年くらい平気だし、ゼリーは延々とイケると思っているからWIN-WINだ。

お中元とお歳暮は子ども世代がもれなく食べ尽くしている。親世代は塩分だの糖分だの言って手をつけない。健康志向ならやめればいいのに。

見栄と義理のためにやめれない。
食べ尽くす人が居ない家庭で食品ロスとして捨てられていると思うと切なくなった。

新米シーズンに出される古米の話も衝撃です。

米騒動が起きるくらい日本人は米を大切にしてきたはずなのになにそれ?と思いたい人は買って読んで欲しい。ホントに腰抜かすようなこと書いてある。


今日出したゴミについて考えた

読み終わると自然に今日出したゴミのことを振り返っていた。朝食べたバナナの皮、プリンの容器、昼は昨日の残りを温めて食べた。夜はフライのトレー容器を回収に出す。

社会に対しての利益をなにも生み出していないのに、ゴミをこんなに生み出している。そんな思いに駆られる。

息子のオムツゴミもこれから小さくたたもう。出来るだけ行儀の良いゴミを出そう。違反ゴミは出していない。けれど最近見かけた違反ゴミについて思い出す。

まず近所の団地の近くにソファーとテレビと炊飯器が捨てられている。ゴミ捨て場の一角が居間みたいになっている。ソファーは布製で雨を吸ってズックズクになっている。小学生が座って大騒ぎしていた。

違反ゴミというより不法投棄だ。とりあえず夏の間ずっとある。捨てた人は毎日見てるのだろうか。それとも引越したんだろうか。回収できませんのシールが貼ってあった。それも雨でボロボロになっていく、切ない。

資源ゴミ事情

私の住んでいるところでは、缶とビンを混ぜて資源回収に出す住人がいる。

管理人さんが「分別して出しておきました、次回からはやりませんから。部屋の前に置きますよ。」とエレベーターに張り紙をしていた。部屋の前に置きますが赤字になっている。打っていくうちに怒りがヒートアップしたんだと思う。そしてフォントもデカめで視覚に訴えかけてくるものだった。

A4いっぱいに印字される3行。管理人さんの怒りと執念を感じる。そして文面から出した人が判明している。直接出す姿か監視カメラを確認したのだろう。

エレベーターの掲示板に張り紙をした足で、該当の住人の部屋のポストにも警告文を入れにいったと思う。それくらいやる勢いがあった。

しかし次の回収日にも同じように出されていた。どうなるのだろう…管理人さん今度はどうなっちゃうんだろう…全文が赤字になるのかな…怪文じゃん。と心配してたら、ビンを勝手に持っていく自転車のおじさんが現れて、その袋の中から自転車のカゴに回収しているのを見かけた。こんな所で分別が行われていたなんて。

ビンは高く売れるらしい。今出したばかりの我が家のビンも持って去っていった。ちなみに缶の人もいる。ペットボトルの人は最近見かけない。知らないところで社会は回っていた。

布回収の日には着古した服も出される。私は布回収を出したことがない。基本的に服は捨てない、売る。下着類は切って捨てる。捨てる前に汚れを拭き取る。

コロナの影響で布回収が止まったことで、今度はいつ出せるのか義母に調べて欲しいと頼まれた。義母はスマホが使えるようでいまいち使えない。電話と簡単なメールしか打てない。その一件で布回収の存在を知った。

基本的に私たちの世代は売る。なんでも然るべき場所に持っていけば金になると知っている。思春期に不況の時代を経験している。リーマンショックも大震災も知っている。

義母が出すと言っている義父のズボンを持ち帰って売りに行きたいくらいだったがやめておいた。金が無いのにプライドが邪魔をした。買い物ついでに量り売りの所は持って行くだけで小銭にはなるのに。

そういえば付き合っていた男とゴミ事情

昔、付き合っていた男が汚れた缶詰を燃えるゴミで出すと言っていた。いかに隠して混ぜるかが腕の見せどころと話した。カルチャーショックを通り越して震えた。

水洗いするだけでいいし、缶の日に出してよ。と言って喧嘩になった。別のことでも価値観が合わずにすぐに別れた。


逆に卵の殻まで水洗いする男もいた。汚れた缶を隠す男と正反対の位置にいる。グラフならz軸回転だ。なんで洗うのか尋ねたら、捨てるまでに臭くなったら嫌だからと言っていた。こまめに捨てたらいいのにと内心思っていた。価値観が合わずにこちらともすぐに別れた。

理系の仕事をしていて山の奥地の生活にもすぐ慣れたらしい。田舎の方が分別が厳しいけど彼ならうまくやっていける。

前者と後者、足して割ったらいい感じになっただろうに。

ゴミはその人の性格(生活)を表すのは本当だ。

他にも嗅覚がその環境に適応すると書いてある。まさにその通りだと思う。

介護士の嗅覚事情

介護の現場で1年もすればパットにモリモリの下痢便が乗ってた時もそんなに臭いを感じなくなっていた。閉めきっている個室でのことだ。

それよりもシーツをいかに汚さず手入れすることに集中していた。こぼしたら仕事が増える緊張感。

家族の大のトイレ後だって嫌だったのに、慣れとは恐ろしい。

たけど慣れるまでは辛く、嗅覚がなくなればいいと思っていた。一生アロマとか楽しめなくなってもいいと思っていた。

介護現場では鼻栓つけたら失礼になるからダメだと言われ、マスクだけでは完全には防げなかった。鼻で吸わないようにするのにはコツがいる。意外と難しい。

しかし、ロッカーにはエンゼルケアの時に使う用の水泳用の鼻栓をお守り代わりに置いておいた。あの死のニオイだけは絶対に慣れない、状態にもよるけど。

ターミナル期のだんだんと身体の細胞が死んでいくニオイは独特だ。私を含め数名のスタッフは数日前からツンとした匂いを感じとれるようになった。分かる人います?これは介護現場あるあるだと思う。

公園のゴミ事情

子育てをはじめて公園に落ちているゴミを拾ってゴミ箱に移動させるようになった。

子育て中の散歩は目が離せない。砂だって口に入れるし、石は舐める。他所様の旦那様が吸ったタバコの吸殻だって興味深く拾って口に入れようとする。

ポイ捨てに腹が立つようになった。愛しい我が子が他人のおっさんが口にしたかもしれないペットボトルすら触って欲しくない。だから私が始末する。

駄菓子の包装紙や酒の空き缶やホットフードの包装紙まで幅広く落ちている。

だから自分の子を守る意味でゴミをゴミ箱に移動させる。捨てるじゃない。私がやってるのはせいぜい移動止まりだ。

捨てるのは回収してくれる人のおかげで成り立っている。ゴミ箱がいっぱいになる前に回収してくれている人がいる。この本を読んで街のつながりを意識するようになった。

早朝でも子どもは公園に行きたがる。仕方ないので連れて行く。私自身早朝の空気は嫌いじゃない。近所のコンビニの制服を着たおじさんがゴミを火バサミで拾ってくれていた。

「おはようございます、ありがとうございます」と声をかけると、「いや、うちから出たゴミが大半なんで…」と困ったように笑っていた。ハッとした。

片付けまでコンビニの店員の仕事じゃない。ゴミを散らかして平気な人の尻拭いをしてくれている人がここにもいた。きっとこの人も同志だ。

レジ袋有料化事情

レジ袋が有料になったが、バイオマスプラを使用して従来と同じように無料でくれるスーパーもある。

ケチ臭い話だがそれを聞いてつい無料でくれるスーパーの方へ行ってしまう。エコバッグを持っていてもゴミ袋に入れる前に小分けにして縛る為のスーパーの袋を求めてしまう。1枚3円の有料レジ袋を買うのが嫌でつい行ってしまう。本当にケチだ。

ディスカウントショップで同じサイズのバイオマスレジ袋50枚入り90円を見つけて購入してしまった。これでレジ袋に釣られまい。そんなことを思いながらも結局無料でくれる方のスーパーへ行ってしまう。筋金入りのケチだ。

紙袋だって最近は事情が変わってきた。KALDIでは1枚15円になっていた。頑張って鞄に詰め込んで帰りますぅと言ったが入らずに手持ちで帰った。シナモンロールがすごく好きな人みたいになった。

しかも若干溶けるし、保冷剤も丸見えだった。情けで小さな半透明の袋に入れてくれただけありがたい。

スタバでは紙袋は無料配布だ。デザインが人気でつい欲しくなる。だけど環境的には15回使わないとよろしくないらしい。15回も使ったら取っ手ふにゃふにゃになる。

高校生の時はスタバの袋に教科書入れてるギャルいたけど、なんかアレに憧れた。SEVENTEENとかでえみちぃが出てた時代で朝ごはんはスタバとか書いてあって真似したかった気持ちを思い出す。

滝沢さんへ

私は生涯ゴミはきちんと分別して捨てます。滝沢さん素晴らしい本をありがとうございました。副業の方も応援してます。オーライ!


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