上司のフィードバックが部下の自律をUPさせる!?:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、今どこの会社でも言われているであろう「自律人材の育成」とフィードバックについて書いていきたいと思います!
「自律人材の育成」は各社様々なことを指しますが、この記事ではその一部である「革新行動」、つまり従業員が新しいアイデアや方法を生み出し、それを実現するための行動に焦点を当てます。
今日の論文
The Influence of Supervisor Developmental Feedback on Employee Innovative Behavior: A Moderated Mediation Model
上司の発展的フィードバックが従業員の革新行動に与える影響:調整された媒介モデル
Weilin Su, He Ding,2019
サマリ
上司の発展的フィードバックは従業員の革新行動と正の関連があり、この関係は従業員の創造的自己効力感を介して媒介されることが示された。また、上司の組織具現化は、この媒介効果に対する調整役割を果たすことが確認された。
わかったこと①
上司の発展的フィードバックは従業員の革新行動を促進する
この図は、上司の発展的フィードバックが従業員の創造的自己効力感を介して従業員の革新行動に与える影響を示す仮説モデルを表しています。また、上司の組織具現化が、上司の発展的フィードバックと従業員の創造的自己効力感の関係、および創造的自己効力感を介した革新行動への影響を調整する役割を果たすことを示しています。
結果として、上司の発展的フィードバックは従業員の創造的自己効力感を介して、従業員の革新行動に正の影響があるということがわかりました。
わかったこと②
上司の組織具現化はこの効果に対する調整役割を果たす
この図は、上司の組織具現化(Supervisor’s Organizational Embodiment, SOE)が、上司の発展的フィードバック(Supervisor Developmental Feedback, SDF)と従業員の創造的自己効力感(Creative Self-Efficacy, CSE)の関係にどのように調整効果を与えるかを示しています。
結果として、上司の発展的フィードバックが高い場合、SOEが高い従業員の方が創造的自己効力感がより高くなることがわかりました。一方、SOEが低い場合には、上司の発展的フィードバックの影響がそれほど強くないという結果になりました。
論文から得た学び
部下の革新行動を促進したいときは「発展的フィードバック」が有効
発展的フィードバックの効果を上げるためには、上司のフィードバックを個人的な意見ではなく、組織全体のメッセージとして受け取ってもらうことが重要
フィードバックにも様々な種類や言説がありますが、今回は上司が組織を代表して、有益な情報やアドバイスを提供することが従業員の革新行動を促進することが分かりました。
自律と聞くと「余計なことは言わない方がいい」と思いがちですが、適切な情報提供は有用であるということがこの論文からの学びですね!