360度フィードバックはリーダーの行動改善を通じて従業員の態度に影響を与えるのか?:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、360度フィードバックはリーダーの行動改善を通じて従業員の態度に影響を与えるのかについての論文です。
360度フィードバックについてはこちらもご笑覧ください~!
今日の論文
360-Degree Feedback to Leaders: Does It Relate to Changes in Employee Attitudes?
リーダーへの360度フィードバック: 従業員の態度変化と関連があるのか?
Group & Organization Management, 2006
Leanne E. Atwater, Joan F. Brett
サマリ
この研究は、360度フィードバック後の1年間におけるリーダーの行動変化が、従業員の態度変化とどのように関連しているかを調査
145名のリーダーおよびその部下、同僚、上司を対象に実施した結果、リーダーの「配慮」「業績指向」「従業員育成」に対する評価が改善した場合、部下のエンゲージメントや満足度の向上、離職意向の低下と関連があることが示された
この研究は、360度フィードバックがリーダーの行動改善を通じて従業員の態度に好影響を与えることを示している
方法
サンプル
小学校地区と小売チェーンの145名のリーダーとその周囲の人々データ収集
フィードバックの前後(1年後)のデータを収集評価指標
リーダーの行動(配慮、従業員育成、業績指向)および従業員の態度(エンゲージメント、満足度、離職意向)
わかったこと:
リーダーの「配慮」「従業員育成」「業績指向」の行動が改善すると、従業員の態度に次のような変化が見られた:
エンゲージメント(従業員の仕事への熱意や関与)が向上
職務満足度が向上
離職意向が低下
リーダーの行動改善の中でも、以下の行動はそれぞれ異なる影響を与えることが確認された:
配慮(関係志向的行動): 従業員の満足度向上に強く関連
従業員育成: 離職意向の低下に強く関連
業績指向(タスク志向的行動): 従業員のエンゲージメント向上に関連
リーダー全員が改善を示したわけではなく、行動の改善度合いには個人差があった。
リーダーが行動を改善した場合、部下の態度も良い方向に変化
行動改善が見られない場合は、部下の態度変化も小さいか、ネガティブな結果となることが多かった
平均としてはリーダー行動に大きな改善は見られなかったが、改善したリーダーに関しては従業員態度の改善が顕著だった
論文から得た学びと活用場面
360度フィードバックプログラムは、リーダーの行動改善を通じて従業員のエンゲージメントや満足度向上、離職防止に役立つ可能性があることがわかりました。一方で、すべてのリーダーが行動を改善できたわけではない点が課題として挙げられます。