バーチャルチームが効果的に機能するためには仕事設計が重要?!:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回はバーチャルチームにおける、仕事の設計の影響についての論文です。
バーチャルチームが増加し、そのメリットやチームパフォーマンスへの影響が広く研究されている一方で、チームのバーチャル性がパフォーマンスに与える影響については、プラスもあればマイナスの結果もあり、混在しているそうです。
今日の論文
Interactive Effects of Team Virtuality and Work Design on Team Functioning
チームのバーチャル性と仕事設計がチーム機能に与える相互作用効果
Small Group Research, 2020年
Lisa Handke, Florian E. Klonek, Sharon K. Parker, and Simone Kauffeld
サマリ
チームの仕事設計がチームのバーチャル性に与える影響をどのように形作るかを調査
チームの機能、すなわちチームパフォーマンスや中間成果(チームプロセスや生成状態)に影響を与える主要な仕事設計変数を特定
特に、結果の相互依存性はチームのバーチャル性が高い場合にチーム機能にプラスの影響を与えますが、タスクの相互依存性は混合した結果を示した
また、タスクの複雑さなどの知識特性が高い場合、バーチャルチームの機能が悪化する可能性が高いことが示された
さらに、フィードバックなどの仕事リソースは、バーチャル作業の高い要求を緩和する可能性があることが示唆されている
仕事設計の要素
この論文で取り上げられている仕事設計の要素は、以下の4つのカテゴリー(相互依存性、知識特性、仕事の要求、仕事リソース)に分類されています。
相互依存性(Interdependence):
タスク相互依存性(Task Interdependence): チームメンバーがタスクの達成においてお互いにどれだけ依存しているか
結果相互依存性(Outcome Interdependence): チームの成果や報酬がどれだけチーム全体のパフォーマンスに基づいているか
知識特性(Knowledge Characteristics):
タスクの複雑さ(Task Complexity): タスクがどれだけ複雑で、構造化されていないか
タスクの不確実性(Task Uncertainty): タスクがどれだけ予測不可能で動的であるか
タスクの非定型性(Task Nonroutineness): タスクがどれだけルーチン化されておらず、独創的な解決策が求められるか
仕事の要求(Job Demands):
仕事量(Workload): チームメンバーが負担する仕事の量やペース
時間的圧力(Time Pressure): タスクを完了するためにどれだけの時間的制約があるか
仕事リソース(Job Resources):
フィードバック(Feedback): チームメンバーが受け取るパフォーマンスに関する情報や評価
社会的支援(Social Support): チームメンバーが提供するサポートや助言のレベル
自律性(Autonomy): チームや個人がどれだけ自律的にタスクを進められるか
方法
1990年以降のバーチャルチームと仕事設計に関する研究を包括的にレビューし、48の関連研究を選定
これらの研究は、チームのバーチャル性と仕事設計がチームの機能にどのように影響するかを評価している
わかったこと:
バーチャル性と仕事設計がチーム機能にどのように影響するか
下記は、レビューの概念的フレームワークを図示したものです。このフレームワークでは、チームのバーチャル性(virtuality)と仕事設計(work design)がチーム機能(team functioning)にどのように影響を与えるかを示しています。
チームバーチャル性の直接効果:
チームバーチャル性は、チーム機能に直接的な影響を与えることがあるが、その影響は一貫していない
バーチャル性が高い場合、調整やコミュニケーションの困難さが増し、チームのパフォーマンスが低下する場合がある
仕事設計の直接効果:
チームの仕事設計要素(例: 相互依存性、タスクの複雑さ、フィードバック)は、バーチャル性に関係なく、チームの機能を強化することが多い
チームバーチャル性と仕事設計の相互作用効果:
チームバーチャル性と仕事設計が相互に作用し、チームの機能に影響を与える。たとえば、高いタスク相互依存性がバーチャルチームにおいて負担を増加させるが、フィードバックが十分に与えられるとその負担が緩和される
媒介変数の役割:
チームプロセスや生成状態(mediators)が、チームバーチャル性と仕事設計の効果を媒介し、最終的なチームのパフォーマンスに影響を与える
チーム機能の成果変数:
チームのバーチャル性と仕事設計が組み合わさって、チームのパフォーマンスやメンバーの満足度といった最終的な成果に影響を与える
論文から得た学びと活用場面
仕事設計を適切に調整することで、バーチャルチームのパフォーマンスを最適化することが可能であることがわかりました。リモートワークが増加する現代において、仕事設計の視点からチーム状態を確認してみると更なるパフォーマンス向上につながるかもしれません。