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フィードバックがどのようにして効果をもたらすか:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は、学習者の反応から、フィードバックがどのようにして効果をもたらすか、のレビュー論文です。
教育現場における心理学的視点で書かれています。


今日の論文

"Toward a cohesive psychological science of effective feedback"
「効果的なフィードバックのための統合的な心理科学の追求」
Educational Psychologist, 2023
Naomi E. Winstone & Robert A. Nash

サマリ

  • 教育におけるフィードバックの効果に関する実証研究は、「何が効果的か」を示すことに注力する一方で、「どのようにして、またなぜそれが効果を持つのか」という問いには十分に答えられていない

  • 本論文は、心理学的視点からフィードバックの効果を理解し、科学的根拠に基づく実践に役立てるため、フィードバック研究における多様なアプローチの統合を提案

  • また、心理的メカニズムの解明や分野を超えた対話の促進が、フィードバックの効果研究の進展に不可欠であると主張している

方法

  • 本論文では、Scopusデータベースを用いて、2010年以降に発表されたフィードバックに関するレビュー論文を系統的に調査

  • これにより、教育者によるフィードバックやその受け手の反応に焦点を当てた研究を抽出し、心理学的メカニズムの解明に向けた具体的な推奨事項を整理

わかったこと:
フィードバックがどのようにして効果をもたらすか、学習者の反応を深く理解する視点

  • Desire(フィードバックの希望)

    • 学習者はフィードバックを積極的に求めるのか?また、どのような条件下でフィードバックを受け入れる意欲が高まるのか?

  • Attend(フィードバックへの注目)

    • 学習者はフィードバックに対してどれだけの注意を払っているか?記憶に残りやすいフィードバックの特徴は何か?

  • Appraise(フィードバックの評価)

    • 学習者はフィードバックをどのように評価しているか?フィードバックを信頼する要因や信頼性を高める要因は何か?

  • Elaborate(詳細な検討)

    • 学習者はフィードバックを受け取った後、次のステップについてどのように深く考えるか?フィードバックの内容について更なる明確化を求めるか?

  • Revisit(フィードバックの再確認)

    • 学習者はフィードバックを後で再確認するか?フィードバックの長期的な記憶や利用に影響する要素は何か?

  • Adjust(行動の調整)

    • 学習者はフィードバックに基づいてどのように行動を調整するか?フィードバックが学習や行動にどのような実際の影響を与えるか?

論文から得た学び

フィードバックの効果を科学的に理解するためには、行動、感情、動機といった多様な心理的プロセスを考慮する必要があると主張されています。

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