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縁故米の是非を問う
皆さん「縁故米」って言葉、ご存知ですか?
これは業界用語で「親戚や知り合いに、無償又は有償で配るお米」を指します。
例えば生産者が、
「東京に住んでいる娘家族にお米を送ってあげよう」
「ウチは農協には出していないから親戚に送ってあげよう」
「ちょっとこのお米は乾燥させ過ぎてしまったので売り物にならないから誰か知り合いにあげよう」
といった様々な理由で収穫したお米を配るのです。
これを「縁故米」と呼びます。
これは「無償」だけではなく、先述したように「有償」の場合もあります。
今から7年ほど前にあった「米価大暴落」がきっかけで広まりました。あまりに農協の買取価格や市場価格が安かったので、「ここまで安いのであれば親戚や知り合いに販売した方がまだお金になる」といって広まったパターンです。
ただこの有償の場合は今回の話題とは論点がずれるので対象にしません。今回は「無償」の縁故米に焦点を当てます。
この無償の縁故米。
実は流通量としては看過できないレベルになっています。以下資料をご覧下さい(公益社団法人米穀安定供給確保支援機構から抜粋)。
これは「消費者がどういったところでお米を購入しているのか」の割合を示したものです。
これを見て頂ければお分かりの通り、米穀専門店(米屋等)で購入する人は全体の2%であるのに対し、下から二行目の「親兄弟(家族・知人など)から無償でもらっている」=縁故米は15%もあるのです。
それだけ縁故米が世の中に浸透している証拠です。
新米の時期になると、そういった縁故米の精米依頼が弊社には多く寄せられます。送る方(産地)は玄米で送るのですが、弊社がある渋谷区や近隣の港区、新宿区といった地域ではコイン精米機は無いのです。
そのためそういった問い合わせにつながるのです。
ただ…新米の時期だから当然お問い合わせがあるのは「新米」の精米か、と思いきや、実は「古米」と言うケースも多くあります。
それはこういうことです。
新米の時期になると田舎から縁故米が送られてきます。
もらった方はその送られてきた縁故米をみてふと思い出します。
「そう言えば…昨年もお米をもらったけれど…まだ食べていなかったな」
そう、産地としては収穫したの新米を送っているのですが、もらう方・食べる方はすぐには食べず、ようやく1年後に食べようとするのです。
つまりこの時点で「古米」です。
そしてたいていは普段使わないようなクローゼットや倉庫に乱雑に置かれているので、品質は著しく落ちます。
「品質が落ちている」くらいであればまだましです。
なかには虫が湧いているお米もあります。そういったお米を平気な顔をして持ってくる人もいます。当然お断りしますが。
いかがでしょうか?
もちろん毎年こういったケースがあるわけではありませんが、でも度々あります。他のお米屋さんと情報交換してもよくある話です。
なぜこのような悲しい出来事が起きるのでしょうか?
それは…お米を送られた方は「タダ」でもらっているから、お米に対するリスペクトが無いのです。お米を美味しく食べようという緊張感が無いのです。いや「タダ」だからこそ、そういったことまで思いが至らないのです。
そして…。
そういった縁故米の存在が、もっと罪深いと思える一面があります…。
一つはそういった「古米」を口にした人が「お米は美味しくないなぁ」と思うことです。
そして無償でお米をもらう人こそ、美味しいお米に出会う可能性も低くなっていることも排除できません。
まず無償でもらえるから、お米に対するありがたみが無い。
お米は「タダ」だから仮に自分で買うことになってもあまり高いお米は買わない。むしろ安ければ安い方がいい。
安いお米には理由があります。たいてい美味しくありません。
そこでまたお米に対する評価が下がるのです。
そう考えると…縁故米は罪深いのです。今すぐにでも辞めて頂きたいくらいです。
少し大げさですが、縁故米の存在こそ、お米の価値だけではなく、お米の値段そのものを下げている要因かもしれないのです。米離れ=米の需要が激減している現状の一因かもしれないのです。
そう、生産者は自分で自分の首を絞めている…と言えるかもしれないのです。
もちろん「縁故米を有償で送ること」を生産者に義務付けることは不可能です。ただ、送る側の人たちはせめて気持ちだけでもお金をもらい、送られる側が少しでもお米に関心を持つようにしてもらいたいです。
それがお米の消費最前線にいる私たち米屋の願いなのです。
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「楽しくなければお米ではない!」
有限会社 小池精米店
三代目 小池理雄(ただお)
五ツ星お米マイスター
東京米スター
6次産業化プランナー(中央サポートセンター登録)
社会保険労務士
東京都米穀小売商業組合所属
東京都ごはん区メンバー
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