Vol.46 インドネシアで考えたこと 2
前回もお伝えした通り、私は先月、4泊5日のインドネシアへの視察に参加しました。高名な経営者の方々とご一緒させていただき、様々な新しい学びと今後の示唆を得ることができました。
前号に続き、私の考えをご紹介させていただきます。
現地では、元東芝中国代表を務められた方、大塚製薬の日本人社長等のプレゼン、ユニチャームの現地視察などの機会を得ることができ、また日本からご一緒させていただいた多くの経営者の皆さんのお話をうかがうことができました。
働きがいのある理想の職場を作る「ICM」にライフワークとして取り組んでいる私は、職場における「上司と部下の思い、その思いの共有」について大変興味を持っています。
上司や職場のリーダーが自分の職場や部下育成について持っている思いがどれだけ職場に浸透しているかが、働きやすい理想の職場に大変大きな影響を及ぼしているということがデータ分析から明らかになっています。
そこで、私はインドネシアで出会った現地日本人経営者の方々に「経営のコツ」について質問をさせていただきました。
表現は様々ながら、みなさんの答えはある一点に帰結しました。
それが始めに「思いを作ること」だったのです。
同じアジアに属するとはいえ、日本とインドネシア、あるいは日本と中国は文化も習慣も全く異なる国です。用いるスキルや機器は同じ、作る製品も同じであったとしても、職場に働く人々の思いや感覚は日本とインドネシアでは全く異なる部分があります。
日本で上手くいっているシステムを海外にそっくり持ち込んでも、受け入れられずうまくいかないのです。
そこで、現地で責任者となる日本人経営者の皆さんは、まず、現地スタッフと話し合いの場を持ち、一緒に「会社の理念」を一から作り上げていくそうです。もともと日本の本社にある経営理念の根本を大切にしながらも、現地の慣習や文化、宗教的な背景を考慮し、現地スタッフにもっともフィットする思い、価値、意見を吸い上げ、練りに練り上げる。それがあってこそ、経営がうまくいく土台となる、ということです。
職場のリーダー・責任者・経営者が、経営の軸となる思い・理念を持つことが大切なのは言うまでもないことですが、その思いが果たしてどれほど働く人々に浸透しているのか、ということがより大切なのです。
私たちが提供している企業研修でも、管理職の方々に思いについて考えていただく時間を作っています。ほとんどの方は仕事や職場についての思いをきっちりと持っておられますが、それがどれほど部下に浸透しているか、という段になると、自信を持てない、と答えられる方が多くなります。
インドネシアで私は、働きやすい職場づくりに欠かせない「思いの共有」の重要性について再確認し、ますますICMの持つ意義と使命を強く感じました。
今後も折を見て、インドネシアでの学びをシェアさせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
(感謝・原田 隆史)2009年10月6日発行
*発行当時の文章から一部を変更している場合があります。
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