Vol.221 「わかった」と「できた」をつなぐもの(2013/5/9)
「わかる」と「できる」は違う。
これは私がいつも考えていることだ。
私は、知識を吸収するのが大好きだ。本の虫でもある。興味を引かれるテーマが見つかれば、ネットで探し回り、急いで購入し、1週間ぐらいはそのテーマに関する本を読みまくる。
1週間で30冊ほど読む。そして、概要とコアの部分を理解する。
しかしそれでは、知識が増えて理解しただけということ。つまり「わかる」。
そこから一歩進んで「できる」ようになるために、私は理解した事実を「実践」する。知識を行動に移す。自分で試してみる。体感する。そして初めて、私は吸収した知識を使って何かが「できる」ようになる。
これは私にとって大変重要なプロセスで、知識を吸収して「わかって」終わるということは、私にはない。必ず実践・実行・体感・検証する。
私は知識を「吸収」するのが大好きなのではなく、「行動」することこそが好きなのだ。知っているだけ、わかっているだけとは、いかにも勿体ないことである。
私がいま皆さんにお伝えしている、人と組織を自立させる「原田メソッド」でも同じことが言える。私は皆さんに、「目標達成の極意」を理解していただきたいだけではなく、その目標達成の極意を使って、本当にそれぞれの目標を達成していただきたいのである。成功して欲しいのである。
「わかった」から「できた」。すなわち「わかりながらできる」へのステップアップだ。
お陰さまで私の著書は、とても多くの方々に読んでいただいている。
最新刊「原田メソッド4つの習慣」も売れ行き好調だ。
原田メソッドの概要を理解していただいたなら、なんとしてもその次のステップである「実行」に進んでいただきたい。
「わかる」→「できる」は、一足飛びではない。
その間に必ず「やってみる」という、行動のステップが必要なのだ。
だから私は企業研修でも、一般セミナーでも、講演会でも、参加している皆さんに「やってみよう」という気持ちになってもらえること、そのことに多くのエネルギーを傾ける。なぜなら人は、良いと思ったからと言ってそれをやってみるという訳ではないのである。実際にやってみようという気になってもらえるかどうか。わかったことを実行に移すモチベーションを感じてもらえない限りは、「原田先生の言っていること、とても良かった。いいお話だった」で終わってしまうのだ。
わかったことを「やってみて」そして「できる」ようになってもらうこと。
そのためには、行動を生み出す感覚、「できそうだ」という感覚を持ってもらうことが重要である。この「できそうだ」という感覚を「統制感」という。私が人様の前に立って、何かお話をさせていただく時はいつも、目の前の方々の「統制感」を高めることに注力している。
「できそうだ」という感覚は、挑戦への行動を生む。やってみようという勇気を生む。地道な練習や訓練への忍耐力を生む。「できそうだ」と思ってやると、自分へのプラスの気持ち、自己肯定感が高まる。自己肯定感(セルフエスティーム)は自信(セルフイメージ)につながり、自信は次の行動を生み出すきっかけになる。
このように、「できそうだ」という統制感は、人の行動をめぐるプラスの循環を生み出すきっかけになるのだ。
わかった→できそうだ→やってみる→できた
これは、私が中学校教師になって以来31年、あらゆる「教育」に携わる際に大切にしている、人が成長するためのステップである。
「できそうだ」という感覚を持ってもらう方法のうち、私が重要だと思っているものは、「身近な実例を見つけたり、活動に対しての目標を自分で決めて、達成の方法や行動計画も自分で決める」ということである。
つまりは、「できそうだ」という感覚を持つことは、私たちが目指している「自立」の入り口に立つということなのである。
今日はここまで。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
(感謝・原田隆史)2013年5月9日発行
*発行当時の文章から一部を変更している場合があります。