おうちで作りたい鶏肉料理 第100位? 鶏肉のカシューナッツ炒めに挑む。
魚が好き、魚が好きと前回の記事で書き連ねたが鶏肉もかなり好きである。国産若鶏(解凍でない)もも肉が100g78円だったりしたときは迷わずレジカゴにお入りいただく。動物の肉では鶏もも肉がいちばんといっていいぐらい好きで、外食の多い週は週3ぐらいで唐揚げorチキン南蛮ということがままある。
当然自宅でも鶏肉が手に入るつど毎回唐揚げでかまわないと個人的には思っている。ビールに合うし最高じゃないですか。ただ我が最愛の妻はそれでは納得してくれない。やはり飽きがこないようよだれ鶏だのなんだの工夫をしていかねばならない。
梅雨も明けたことだし、と妻とタンデムで初夏の陽射しのもとを走り回っていて、帰り道に晩ごはんの算段をし始めたとき、ふとある料理を思いつき、ヘルメット越しに是非を問うた。
「鶏肉のカシューナッツ炒め好き?」
妻の返事はイエスであった。一緒に暮らすようになって15年ぐらいになるのに妻の嗜好を把握していないのは、そもそも他者に興味がない我が精神構造に問題があるのかもしれないが、むしろ問題はこの料理のよそ行き感、「おうちでまず作らないよね」感にあると思いたい。タイトルにも勝手に書いたけど、毎日鶏肉料理を作ったとしてこのカシューナッツ炒めを思いつくのはおおよそ100番目ぐらいではあるまいか。知らんけど。
だってナッツを料理に入れるなんて相当上級者よ? 違う? 私にとってのナッツはおやつでありおつまみなのだ。カリッと塩味で食べるものなのだ。それを炒め物に入れて餡をからめようなんて、発想がそもそもない。
しかし思いついたら作ってみたくなった。出来上がりを想像するにピーマンなんかが入っている気がするからきっと夏の中華だろう。ようし、今夜のメインディッシュは決まりだ。
生カシューナッツを量り売りで買うエシカルな暮らし。
鶏もも肉はうちの冷蔵庫で待っている。あと欲しいのはカシューナッツだ。さっそく寄り道して、SNSで最近妻がオープンを知ったという、小さな量り売りのお店を目指した。看板も何もなく、スーパーの向かい、他のお店の2階に小さな一間を間借りするようにしてそのお店はあった。真面目そうな若い女性がひとりで店番をしていて、大きな瓶詰めのナッツ類やスパイス、パスタ、大豆ミートなどがテーブルに並んでいるというだけの質素な店構え。
こういう取り組みは個人的にはとてもいいと思う。容器を持っていって、欲しいものを欲しいだけ買う。精肉店なんかは今でもそうだけど、かつて商店街の個人店舗が人々の主な購入先だったときは日本でもごく当たり前の方式だったのだ。もちろん全ての食品に対応できる方式ではないけど、廃棄も減るし容器などの環境負担も少ない。なんか丁寧な暮らしをしている気がして、少し胸の奥がスッとする。
お目当てのカシューナッツはなんと生であった。えー何か高級ーと思いつつ50gだけ購入して家路を急いだ。
ローストのしかたがわからない。
さあ、生カシューナッツとのご対面。よく見ると表面にシワシワがあるのは生だから? よくわからないけど細かいことにはこだわるまい。巷にあふれる鶏肉のカシューナッツ炒めのレシピを見るに、ローストを使うか、炒めるか、揚げて使うものらしい。
ロースターなんてオシャレな器具は持ってないので、素直に(?)中華鍋で乾煎りすることにした。すぐに焼き色がついて、香ばしい香りが立ち上ってくる。これでいいんじゃあるまいか。
ちなみに中国語でカシューナッツは「腰果(yaoguo)」と言う。それってつまり腰の曲がった老人みたいなカタチをしているからかしらん。
鶏と野菜は賽の目切りに。
玉ねぎ、ピーマン、パプリカあたりをそれぞれ2cm角程度の賽の目切りに。中国語の料理名「腰果鶏丁」の「丁」はこの賽の目切りを意味するのだ。
鶏もも肉も同様の大きさに切り、紹興酒、塩胡椒で下味をもみ込んで片栗粉をまぶしておく。
最後の味付けに使う合わせダレの比率は以下のとおり。これもあらかじめ混ぜておく。
醤油・オイスターソース・・・大さじ1
(醤油はもっと少なくてもよかったかも)
砂糖・・・小さじ1
あとは炒めていくだけ。
下味をつけた「鶏丁」をまず炒めて取り出す。
油を気持ち追加し、刻んだニンニクと生姜を熱して香りを引き出したところに野菜をワッサーと入れて炒める。
野菜に火が通りはじめたら鶏肉を戻し入れ、カシューナッツをイン!
合わせダレを回しかけてさっと混ぜ、水溶き片栗粉で好みのとろみをつけてごま油で香りづけすればできあがり!
100位からのランクアップなるか!? 腰果鶏丁。
わー、オレにもできたー! 鶏肉のカシューナッツ炒め。それっぽい!
一言でいうと、うんまーい! カシューナッツの火の通し方など、合ってるのかどうかわからないところもあるけど、全体を通してはまずまずそれっぽくなってる。カシューナッツは香ばしくホクホクで、それを噛み砕きながら他の鶏肉や野菜をいただくと、口の中でとてもまろやかな風味になって、ぐいぐい箸が進む。これはいいぞ! なぜ今まで100位に留めておいたんだ、自分。一気に25位くらいにランクアップしたぞ。
ちなみにこの料理、純然たる中国料理ではなくて「アメリカ中華」らしいですね。オレンジチキン同様、アメリカに渡った中国人が発明し、現地で好評を博したレシピということらしい。ナッツを炒め物に入れるという違和感はそういう出自から来たのかも。中国料理にはそうやって世界各地で独自の変化を遂げたものがあってとても興味深いですねー。
個人的には今回参考にした合わせダレの味つけは少し濃いように感じたかも。もう少し醤油を減らしてもいいかな。
いや〜こうして未知なるレシピに挑み手中のものとするのは楽しい。またひとつ手数が増えて、大人の階段を一段登った気分。ナッツ類は健康にいいし、食感や風味のアクセントにもなる。近所に量り売りのお店もできたし、これからはもっと気軽にナッツを取り入れて、おしゃれごはんを作っていこうっと。