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イギリスの現実、おっさんの悲哀と、泥臭さ、EUの今後、ひっくるめて”全部盛り”で~~「ワイルドサイドをほっつき歩け」ブレイディみかこ~~

いろいろ楽しめて”お得”な本。とにかく面白い。
おっさんたちの悲哀と気概を感じられて、痛快だ。
奥深く、興味深く、滋味深い。

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著者の観察眼、ものの例え方、会話の記憶力、
人を見る目の優しさ、ユーモア、
そんな人柄が文章にもよく表れている。
出てくるおっさん達への愛情と、
愛嬌、こっけいさもあって、一気に読んでしまう。

しかもこの本の”お得”なところは
おっさんたちの様子を切り取ることで
今のイギリスの直面している課題、
これまでの変化、
そしてこれからどうなりそうかという予測まで、
にじましてくれている。
なんとなくスノッブで、高飛車で、鼻につくような
イメージのある国が、
実際は泥臭くて、問題だらけで、
でも何とかやっている、普通の国なんだなぁ
ということが分かってくる。
リアリティを感じさせる。
日常のスケッチでもあり、今の時代の記録でもあり
未来予想の本でもある。
そんな盛沢山な内容で、お得感がある。

私は、著者と同じぐらいの世代でもあり、
同じような洋楽を聞いてきたこともあり、
社会や人に対する見方、ものの捉え方が似ていて
とても納得できる。

ただやはり著者がすごいのは、
その表現力や、物事の観察力、会話の記憶力、
それをちゃんと表現する文章力、、、。
ひっくるめてこの人はすごいと思う。
こんなに人を生き生きと描き、
ダメな人でもやっていけている、って思わせ、
自分も頑張ろう、と思わせる、
著者の手練れの技が、たまらない。
魅了される一冊。

2021年1月読了 

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