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『両手にトカレフ』とともに、自分の人生を生きていこう

今朝は5時に起きなくても良かった。8時過ぎまで寝て、目覚めてそのまま1冊の本を読み始めた。
ベッドで横になったまま、朝食も取らずに。

止まらなかった。すべて読み終えるまで、今日は何もしないと決めた。正午まであと数分というところで読み終えた。そして、今日は自分のために使おう、自分が本当にしたいことに使おう、そう思った。

きれいなブルーに黄色の文字で『両手にトカレフ』と書かれている。書店に平積みされたこの本に興味がわいた。
制服を着ている金髪女性と、着物姿の黒髪女性。どんな物語なのだろう。




作者は『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』のブレイディみかこさん。
本の横には、彼女のメッセージが添えられていた。


『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』には出てこないティーンたちがいました。ノンフィクションの形では書けなかったからです。あの子たちを見えない存在にしていいのかというしこりがいつまでも心に残りました。こうしてある少女の物語が生まれたのです。

この「ノンフィクションの形では書けなかったからです」という一文も、この本を手にとった理由の一つ。
自分の中に、いつか書きたいと思う人がいるが、ノンフィクションの形では書けないと思っている。小説として世に出したいという想いが心の奥にずっとあるのだ。


この物語は、14歳のミアの現実と思いと、図書館で出合ったカネコフミコ(金子文子)の自伝が並走している。遠い国、昔生きていた日本人との間に似ているところを感じていく。
母親は生活保護費までもドラッグにかえてしまう、ミアは小学生の弟の世話をするヤングケアラー。そんな環境で生きるミアがラップと出合い、想いをリリックにすることで、彼女の狭い世界が少しずつ広がっていく。

ラップで同級生たちとの階級、貧富の差や、言葉のもつ力、リアリティを表しているところがいい。
14歳という多感で、危険なこともまだ恐れず突っ走れてしまう子どもっぽさ、そんな感情は揺れるけれど真っ直ぐ強い気持ちを、この物語の中の子どもたちにも感じられる。

大人を信用できない彼女と、助けたいと本気で思う大人たち。登場人物それぞれの背景。タイトルの『両手にトカレフ』とは。
ぜひ読んでみてほしい、おすすめの1冊。

つらい状況にいる若者にも、未だに籠の中にいるような状況の大人たちにも、勇気をくれる1冊だと思う。

わたしも勇気をもらえた。


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