『トートロジーの落とし穴』
『トートロジーの落とし穴』
前回の記事で学習のお話をさせていただきましたが、あれは本当に触りの部分で。
学習というからには、ちゃんと応用行動分析学という「学問」として体系づけられています。
もの凄く奥が深く、学術用語が飛び交う世界です。
そんな中でも、知っておいた方がいい大事な部分を書いていきたいなと。
それではお付き合いお願いいたします
①トートロジーとは
例えば
こうした行動をしたとき
どうして犬はこのような行動をするの?
そうお伺いすると
そんな捉え方をする声もよく耳にします。
もちろん私たちは、このような目線で犬を見ません。
動物行動学的にも間違った解釈で
上下関係の話とかは完全否定されまくっているので、草も生えないぐらいです。
私たちは先日も書いたように、行動は(きっかけ)があり(結果を伴う)ことが学習され、より反応が速くなったり、広がったりするので、そこを分析し改善方法を考えていきます。
ではこの捉え方、何が問題か?
実は説明しているようで、何の説明にもなっていないのです。
このようなループのことを「トートロジー(循環論または同義反復)」といいます。
例えば人の場合
こんな感じで(じゃあ、どうやったら解決するの?)というところにたどり着かない。
②価値観は定義が曖昧
『上下関係やバカにしている』といった
人によって定義がバラバラなことを理由にしていること。
そうすると人の価値観の違いにより理由が変わる
特定の行動で、バカにしていると考える人もいれば、そう思わない人もいる。
なので人によって対応がバラバラになる
すると再現性もバラバラになる
これは学問でも科学でもなく、強いて言えば「勘」みたいなもの
プロとしても、みなさんの大事な愛犬にそんなギャンブルみたいなことできないし
当然おすすめもできない。
③個人攻撃のわな
もうひとつの問題点が「個人攻撃のわな」と呼ばれるもの
これ理由を全部、犬のせいにしてませんか?
すごく闇が深い部分だと考えていて
「全部犬が悪いフィルター」を通して見てしまうと
本当の原因が見えなくなってしまう。
しかもこのような言葉を何かしらの専門家から言われようものなら
飼い主さんまで責められた感じがして、プレッシャーがかかり
さらに悪循環な結果を産むことになる現場をたくさん見てきました。
本当に、誰も幸せにならない
三項随伴性といわれるこの流れの部分の中で
見えやすい行動の部分にだけ問題にし、さらに犬のせいにしてしまうと
(きっかけ)と(結果)が見えなくなる
④具体例として
ではこのままでは、皆さんスッキリしないと思うので、私たちがどうしているのか?ひとつ例を出しますね。
「飼い主さんを噛んだ」を、もう少し深く聞いてみるとします
ーー噛まれたきっかけは何ですか?ーー
”散歩から帰って足をタオルで拭こうと、愛犬の足を持ったら噛まれました”
きっかけが「足を持つ」ということがわかりました
では、きっかけ→行動→結果 に当てはめてみます
噛むことで手が離れる結果を得ている
さらには飼い主さんの手が愛犬に近づくと、さっと体をよじるボディーランゲージも見られる。
これを専門用語で表すと
「オペラント条件づけ・負の強化」
となります
そして原因は「足を持たれることによる不快感」
なので「不快感」の部分にアプローチをかけていかないと、問題解決しない。
おそらくこれまでも、足拭きを嫌がっていたが、無理やり拭いていたことにより
行動が強化されて広がり、実際に噛むところまで進んだ。
このような場合は
とりあえず飼い主さんには足拭きを中断していただいて
1から条件づけの作業に取り掛かりましょう
だいぶ端折ってますが、こんな感じです
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