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HAPPY TORTILLA
2018年11月20日 07:50
「ながらくお待たせしました」 「待ってないけど、ひさしぶりだね。いらっしゃい」 2週間も『マゼラン』に来なかったのは、この土地に来て初めてのことだ。この店の名前を、僕はたった今、知った。扉と同じくらいに古いボードに文字が浅く彫られていて、色もついていないから、よく見ないと気がつかない。 「砂のお城の上に旗が立っていて、それを目指して階段を登ってて」 「いきなり、だね」
2018年9月25日 07:44
「夢を見てたのは、僕のほうなのかもしれない」 大きくなりすぎたテーブルヤシの向こう側の席から、聴き慣れた声がした。街中のレストランの、洗練されたデザインのダイニングテーブルとチェア、ピアノとヴィオラの室内楽。いつもとはずいぶん雰囲気の違う店で、こことは違う店でよく聴く声を、僕はキャッチした。 「人の中で生きていけると思ったんだよ、お前といたとき。とんだ勘違いだったけど」 話し