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HAPPY TORTILLA
2019年2月9日 21:23
少しもくたびれない、スタンドカラーの上着を脱いでハンガーにかける。カジュアルな装いで十分なくらいに、過ごしやすい暖冬だ。仕事がひと段落すると、突然に和そばを食べたくなった。だいぶ前にお土産でもらった乾麺を茹でるお湯を沸かしながら、魚介のフリッターを揚げる。外は季節外れのスコール。大量の水が地面を打ち付ける音と、窓からの景色と、新鮮な揚げ油の匂いと、1DKの素っ気ない内装と、季節感のない素
2018年8月5日 17:15
「ほんとうによかったなあ、先週のライブ」 ココナツ独特の甘みが、冷たく舌の上に転がる。フクロウのデザインがほどこされた長すぎるステンレスのマドラーで、カフェラテの氷をかき混ぜながら僕は言った。 「そう言ってもらえて光栄です、歌ったのは私じゃないけど」 マスターが「私」というとき、なんともいえない違和感の風が吹くような感じがする。 「企画したのはマスターでしょ」 「そ