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たまたま隣のサイトにいたおじさんが、我が家のキャンプの師匠になったお話

何事も早く上達したいのなら、良い先生に習うのが早い。

大自然の中で不自由を楽しむキャンプという遊びも同じことが言える。

テントを張るコツ、寝床を作る方法、簡単にできる美味しい料理・・キャンプとは技術と経験が必要な遊びなのだ。

まだまだ手のかかる7歳と3歳の2人の子供を持つ私は、キャンプを始めた当初は常にてんてこ舞い。

ようやく晩御飯にありつくころには、疲労感たっぷりで乾杯をしたものです。

そんな超ど素人キャンプをするある日のこと、唯一の楽しみであるビールが飲めないという事件が起きた。

その理由は、私が栓抜きを忘れたから。(その日はよりによって瓶ビール!!)

ネットでビールの栓を「栓抜きなしで抜く方法」を、あたふたと検索する夫と私。

しかしその時、隣のサイトで優雅に夕日を眺めながら、ハイネケンを飲むおじさんに私は気がついた。

よく見ると小学生の3人の男の子を引き連れており、一人で設営したであろうテントとタープはあまりにも美しい。

ビールを飲みながら余裕でご飯を炊いているこの男性は、ただ者じゃないと私は直感したのだ。

「すみません!栓抜きを貸していただけませんか?」

私がその男性めがけて走り寄ると、「おお!ヨカばい、ヨカばい!持っていかんね。」と笑顔で対応してくれた。

次に私がビールの栓抜きを返しに行ったら、男性は信じられない一声をかけてくれた。

「寒いからウチのテントで晩御飯を一緒に食べていかんね!」

我が家はちょっと肌寒い10月末の夜、吹きっさらしの野原でレジャーシートに座り込んでご飯を食べようとしていたのだ。

キャンプというより難民に近く、見た目にも寒々としていたのだろう。

我が家は家族全員で、初対面のおじさんのツールームテントのリビングにお邪魔した。

「あったか〜い!!」

思わず家族全員が笑顔になる。

まるでコックピットのように整然としたリビングには、必要なものがビシッと定位置に並んでいる。

狭いテントの中で無駄に動かなくていいように、実に美しく全てのものが配置されていた。

出てくる料理はどれも出来たての熱々!これぞキャンプ飯と言わんばかりの美味しさだった。

さらには小学生の男子3人が、我が家の子供達が退屈しないように遊んでくれた。

「なんか、今までのキャンプと一味も二味も違う・・・。超楽しい!!」

私の予想を遥かに超えた「キャンプの楽しさ」に触れた瞬間だった。

大人も子供も一緒に食事をし、キャンプについて熱く語り合う、それは楽しいひと時を過ごしたのだ。

そして、この偶然の出会いが、私達の家族の運命を大きく変えた。

こんなキャンプの楽しさを知ったら、もう元には戻れない。

栓抜きを快く貸してくれた親切なおじさんは、この日を境に我が家のキャンプの師匠となった。

師匠の名前はケイさん。

実は、ケイさんは年間50泊を10年以上こなしている、超ベテランキャンパーだったのだ。

ほぼ毎週末、小学生の男の子3人を引き連れ、一人でテントを貼り、料理をし、撤収まで軽々とやってのける。

それはもう素早く、美しく、無駄のない動きは、私から見たら「キャンプの神様」そのもの。

そんなケイさんの楽しみは、晩御飯前の静かなひと時に、一人でビールをしっぽし飲むこと。

飲む相手がいればビールはさらに美味しいが、そうそう出会いは転がっているものではない。

そんな時、栓抜きを忘れたキャンプ初心者の我が家が、泣きそうになりながらやって来たというのだ。

栓抜きだけを貸して、放っておくこともできた。

しかしあの寒い中で、何の暖も取らずにご飯を食べようとしている我が家を見てこう思ったそうだ。

「この人達、寒いやろうな〜。」

ケイさんは私達家族を、暖かいリビングに入れてやらねばと思ったというのだ。

あの時の私達が悲壮感に溢れた、生活臭漂うキャンプをしていて本当に良かったと思う。

この日から、私たちの本格的なキャンプが始まった。

週末になると私はケイさんに連絡し、「今週はどちらのキャンプ場でしょうか?」と聞いて追っかけるようになった。

ケイさんはキャンプの技術と経験を、私達に惜しみなく教えてくれる。

それは時にテントの選び方だったり、美味しくご飯が炊ける鍋だったり、コンパクトな焚き火台などなど。

年間50泊を10年以上続けたケイさんの「キャンプの知恵の極み」をいただけるのは、すごく幸せなことだ。

今後はこのnoteで、私がケイさんに教えてもらったキャンプの知恵やお役立ちグッズをシェアしたいと思う。

私達家族がキャンプが1年続いたのは、間違いなく師匠であるケイさんのおかげなのだ。

そしてケイさんの3人の息子たちが、我が家の子供達の面倒をしっかり見てくれるから、ゆっくりビールが飲める。

キャンプは家族時間を過ごす場でもあるが、格好の出会いの場でもある。

私はケイさん一家との出会いで、ますます楽しく「キャンプ沼」にハマっている。

キャンプをするなら達人を見つけて仲良くなりましょう!

これが上達の近道であり、キャンプが何倍も楽しくなる方法です。

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