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「由流里ハウスのほっこりお正月」

新しい年、2025年が明けた朝。由流里ハウスでは、リビングにお正月らしい香りが広がっていました。コアラのココが作ったお雑煮が、テーブルの上に並んでいるのです。

「さあ、できたよ!今年のお雑煮は、みんなが好きなものを少しずつ入れてみたからね。」
ココがにっこり微笑みながら、大きな鍋をテーブルに運びます。リリィは耳をピンと立てて、鍋を覗き込んでいます。

「わあ、にんじんも大根も入ってて、彩りがきれい!お餅もこんがり焼けてる!」リリィが嬉しそうに声を上げます。
「うん、昆布と鰹節のだしのいい香りだなあ。さすがココ」
シカリンも感心した様子でお椀を受け取りました。

3人はお雑煮を手に、炬燵の周りに集まりました。外は寒いけれど、リビングの中は湯気と温かい空気に包まれています。

「さて、2025年の始まりだから、みんなで今年の抱負を発表しようよ!」ココが提案します。
「いいね!」リリィが箸を置いて賛成しました。「それで、ココはどんな抱負なの?」

ココは少し照れたように笑って言いました。
「今年はね、もっと“チャレンジ”をしたいなと思ってるんだ。
料理だけじゃなくて、新しい趣味にも挑戦したいし、それに今度こそバイトくらい始めようかなって」
「えっ、ココがバイト!?どうやって生活してるのかずっと謎だったけど、ようやく働く気になったんだね!」シカリンが目を丸くします。
「まあ、いつもみんなに頼ってばかりだからさ。今年は少しは自立してみようかなと思って」

リリィがにっこり微笑みました。「いい抱負だね!応援するよ。じゃあ次は私ね。今年の抱負は、“無理をしない”こと!」
「それって抱負なのか?」シカリンが首をかしげました。
「うん!去年は仕事もプライベートも詰め込みすぎちゃって、疲れることが多かったから、今年は自分に優しく、のんびり過ごすのを大事にしたいの」
「それもいいね。リリィはいつも頑張りすぎるからね」ココが優しく頷きました。

「じゃあ、次はシカリン!」リリィが目を輝かせて促します。
「僕はそうだなあ…。今年の抱負は、ズバリ“筋トレでシカ界最強になる”!」
「え、またそれ?」ココとリリィが声を揃えて笑いました。
「去年も一昨年もそれ言ってなかった?」リリィが指摘します。
「いや、今年こそ本気だから!腹筋を割って、角の輝きもさらに磨く予定だ!」シカリンは自信満々です。

3人で笑いながらお雑煮を食べ進めていると、ふとリリィが何かを思い出したように言いました。「そういえば、昔読んだ本で“抱負”に関する面白い話があったよ!」
「どんな話?」ココが興味津々で聞きます。

リリィは箸を置きながら語り始めました。
「ある国でね、とんでもなく偉大な抱負を立てた人がいたんだって。その人の抱負は“今年中に世界を征服する”だったの!」
「世界征服!?すごいスケールだな」
シカリンが目を丸くしました。
「でもね、結局その人は世界征服どころか、庭の雑草を抜くのすら忘れてたらしいの。それで年末になって、“まあ来年があるさ”って言ったんだって」
リリィが笑いながら話を終えると、ココとシカリンもつられて笑い出しました。

「それ、なんだか分かるなあ。抱負って、立てる時は気合い入ってるけど、意外と続かないんだよね」
ココがしみじみと言います。
「うん。でも、その人の庭の雑草だって、“来年があるさ”って言えるくらい気楽な気持ちでいればいいのかもね。」リリィが微笑みました。

「俺たちも、そんな気楽さを忘れずにやっていこう!」シカリンが言うと、3人はお互いに頷き合いました。

炬燵の中でのんびりとお雑煮を食べ終えた3人は、結局その後も抱負の話から脱線し、今年はどんな美味しいものを食べたいかという話題に移っていきました。でも、そんな自由な時間が3人にとって最高のお正月だったのです。

新しい年も、由流里ハウスには笑いと温かさが溢れていました。

ーおわりー

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