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「夜でも明るい由流里ハウス」ー温かいご飯は心もあったまるね


夜も更けた頃、玄関のドアが静かに開き、鹿のシカリンが帰ってきました。いつもなら「ただいまー」と元気に声をかける彼女も、今日は疲れ切った顔をしてそのままベッドへ向かおうとしています。コアラのココは、キッチンからその姿をちらりと見て、「シカリン、今日はご飯食べないの?」と声をかけました。

「うん…今日はもう疲れちゃって、寝るだけでいいかな…」とシカリンがつぶやきました。ココは少し心配そうな顔をして、それでもそっと見送りました。

しばらくして、ココは冷蔵庫を開けて残っていた野菜やご飯を取り出し、やさしくお鍋に入れて煮込み始めました。
シカリンのために、簡単でやさしい味の「雑炊リゾット」を作ることにしたのです。だんだんとキッチンに、ほのかにおいしい香りが漂い始めました。

その頃、うさぎのリリィも帰宅。
「わあ、いい匂い!誰かが何か作ってる?」と嬉しそうに顔を輝かせながらキッチンに入ってきました。ココが「シカリンが疲れてご飯を食べずに寝ようとしてたから、やさしい雑炊みたいなリゾットを作ってみたんだよ。皆んなの分もあるよ」
と話すと、リリィは微笑んで、「さすがココね」と言いました。

さあ,仕上げには3個の卵。空気を入れるようにして溶いた卵を火を止めてお鍋の端から回しかけます。ふんわーり、ふわっふわっの卵入り雑炊リゾット!
野菜の出汁の匂いがほんのりと部屋中に漂っています。

リリィも手伝い、二人で鍋ごとのリゾットをテーブルに並べたところ、ふらりとシカリンが現れました。
   「…いい匂いがして、起きちゃった」とシカリン。
少し照れくさそうに言いながらテーブルに座ります。

「これなら、無理なく食べられると思うよ」とココがリゾットを差し出した。
シカリンはそれをフーフーして一口そっと口に運びました。あたたかいご飯のやさしい味が、疲れた体にしみわたっていきます。
「...おいしい。こんなに食べやすいごはん、久しぶりかも」

その一言に、ココもリリィも微笑み、三人で静かに食べ始めました。
最初は「少しだけでいいかな」と言っていたシカリンですが、気づけば一番たくさんおかわりをしています。

「やっぱりおいしいご飯って、元気が出るね」
とシカリンがぽつりとつぶやくと、ココとリリィも
「そうだねー」
としみじみと頷きました。
何気ないおうちご飯、何気ない会話がお腹の奥に染み渡ります。

外は冷たい夜でしたが、三人で囲むテーブルの上は、やさしいリゾットの温かさに包まれ、心までぽかぽかと温かくなっていきました。
温かさは体と心のごちそうですね。

それでは、また!(๑˃̵ᴗ˂̵)/♡

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