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「海外の精神医学や心理療法の事情」について調べてみた(中国編)その2

中国の精神科治療における現状について、薬物療法の中心性や精神疾患の発症割合、入院状況について以下に説明します。

1. 中国の精神科治療の中心は薬物療法

中国の精神科医療では、薬物療法が中心となっているのが現状です。

⚫︎薬物療法の普及: 中国では精神疾患に対する治療の主なアプローチとして、薬物療法が用いられています。特に、統合失調症や双極性障害、うつ病などの治療では抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬がよく処方されます。

⚫︎心理療法の限界: 心理療法も徐々に広がりつつありますが、専門的な心理士が不足しており、医師が薬物療法を優先する傾向があります。特に地方では心理カウンセリングや心理療法の利用は限られています。

⚫︎伝統医学との融合: 一部では中医学(伝統医学)の治療法が精神疾患に応用されることもあり、漢方薬や鍼治療が補完的に使われる場合があります。

2. 精神疾患の発症割合
中国における精神疾患の発症割合について、いくつかのデータがあります。

⚫︎全体的な発症率: 2019年の調査によれば、中国では精神疾患の生涯有病率が約17.5%とされています。これは約2億人以上が何らかの精神的問題を抱えている可能性があることを示しています。

[主な疾患]
⚫︎うつ病: 成人の有病率は約6%と推定されており、特に都市部でのストレスや社会的孤立が影響しています。

⚫︎不安障害: 約5~6%とされていますが、診断されていないケースも多いです。

⚫︎統合失調症: 生涯有病率は約1%で、これは他国とほぼ同じです。

⚫︎高齢者: 高齢化社会の進展に伴い、認知症や老年期うつ病も増加しています。

3. 精神科病院の入院状況
中国では、精神科病院への入院に関して以下の特徴があります。

(1) 入院患者の割合と病院の状況
⚫︎精神科病床数: 2015年時点で、中国全土の精神科病床数は約440,000床とされていますが、人口に対する割合は低く、入院治療の受け入れ能力が限られています。

⚫︎入院の主な対象: 入院が必要とされる患者の多くは、統合失調症や重度の双極性障害、重度のうつ病などの患者です。また、暴力や自己危害のリスクが高い患者も優先的に入院します。

⚫︎入院期間: 入院期間は比較的長期にわたる場合が多く、特に統合失調症患者では長期の隔離治療が行われるケースもあります。

(2) 地域格差
⚫︎都市部では比較的充実した精神科施設がありますが、地方では精神医療が十分に整備されておらず、入院が必要でも対応できない場合があります。このため、都市部の大病院に患者が集中する傾向があります。

(3) 法的および社会的側面
⚫︎強制入院: 中国では精神疾患患者の強制入院が問題視されています。家族や地域社会の判断で入院させられる場合があり、人権侵害とみなされるケースもあります。

⚫︎退院後の支援不足: 入院後に社会復帰するためのリハビリや地域支援が不足しており、患者が再び孤立することが課題となっています。

4. 精神医療の課題と改革の動き
中国では精神医療の改善が進んでいますが、以下のような課題が残っています。

⚫︎専門医と心理士の不足: 精神科医や心理士の人数が患者数に対して圧倒的に不足しています。都市部でさえも、精神科医1人あたり数百人以上の患者を抱えることがあります。

⚫︎地域ケアの不足: 地域でのメンタルヘルス支援が不十分であり、患者が家族や社会から孤立する問題が深刻です。

⚫︎医療費の負担: 精神医療にかかる費用が高額で、低所得層では十分な治療を受けられないことが多いです。

ー結論ー
中国の精神科治療は薬物療法が主流で、心理療法や地域支援はまだ十分に発展していないのが現状のようです。
発症割合や入院の状況を見ると、都市部と地方の格差や医療資源の不足が大きな課題となっています。
しかし、政府や専門機関による改革の動きも始まっており、少しずつ改善が進んでいると思います。

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