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「変わるのが怖い」という気持ちに寄り添う話ー精神療法中に変化に弱くて前に進めないと感じるとき

人が「変わる」って、とてもエネルギーのいることであると思います。
頭では「このままじゃダメだ」「変わらなきゃ」と思っても、心がブレーキをかけてしまうことがある。
それはなぜなのでしょうか。ここでは、その理由や乗り越え方についてお伝えしたいと思います。

【安全な場所が必要】
まず、一番大切なこと。
それは「安全な場所があるかどうか」です。

人は、自分の身を守るために無意識に「ここは安心できる場所だろうか?」と観察しています。
まずなぜ抵抗するのかというと、そもそも本人の中で「安全な場所」があるのか、そして治療者との関係の中で「信頼関係」がちゃんと結べているのか、ということが挙げられます。
安全な場所ではないとしたらやはり変わろうとしないし、思ってもできない。
ここから逃げられません、となるわけです。
だから、ちゃんと安全性を確保する。
世の中は安全なんだよ、という最低限の常識を手に入れる。
虐待を受けていて心身が傷ついて疲れ果てている人は、客観的に見るなんて怖いことは難しいことだから。

もし「ここは危険かもしれない」と思ったら、変わろうとするどころか、むしろ守りに入る。
だって、自分を守らないといけないから。だから治療の場,相談する場、話を聞いてもらう場が安心安全な場である必要があるということです。

たとえば、何か新しいことを始めようとするときも、家や学校、職場など自分を取り巻く環境が不安定だと、気持ちがそっちに向かなくなることがあります。「安心できる場所」があるからこそ、人はちょっとずつ前に進むことができる。

だから最初に安心安全な場を提供できたら、できていたらやるべきことは治療者支援者がここは安全な場所だよ』と伝えていくこと。そして支援や治療を受ける側はそれを受け取っていく、
そして、少しずつ安心というその感覚を認識していってもらうこと。
とそのようなこと何だか同じようなことやっていて「前に進めていない気がする」とか「変わるのが怖いのかも」と思ったら、勇気を出して治療者や支援者に相談してみるといい。そして,一緒に考えてもらう。大人なんだから自分のことは自分でやらなきゃ!なんて考えなくていい。自立して見えるひとって案外相談するの上手でうまいこと周りから助けてもらっている。

たとえば虐待を受けていたり、誰にも頼れない状況で生きてきた人には
「世の中って、本当は安全なんだよ」という感覚を得られるように学び直すところからスタートするのが、
1番の道だと思われる。

【信頼関係って、じっくり育てるもの】
次に大事なのは、「信頼関係」です。
たとえば、医者やカウンセラーが支援者が「自分のことを本気で考えてくれている」と感じられたら、その人に心を開くことができます。でも逆に「この人、自分のためじゃなくて、自分を利用しているんじゃないか?」とか、この人自分を馬鹿にしてるなんて思ったら、心の扉は閉じてしまう。

特に、《過去に人から裏切られたり、傷つけられた経験がある人は、「信じる」ということ自体がとても怖い》んです。
だから、少しずつ時間をかけて
[この人なら大丈夫かな]と思ってもらう必要があるんだと思う。
場合によっては、「医者」という肩書きや、病院という場所の持つ特別な雰囲気をうまく利用することもあります。信頼を築くのは簡単ではないけれど、それが土台になってうまくいくこともある。

【「知ること」が怖い理由】
人が「変わる」のを怖がる理由の一つに、「知る痛み」があります。
たとえば、自分の過去や、自分が抱えている問題に真正面から向き合うことって、とても苦しいことです。現実を知るのが怖くて、「そんなことは考えたくない」と避けてしまう人も多いです。

さらに、そもそも自分を客観的に見るのが苦手な人もいます。
これは性格や育ってきた環境、発達の特性などが関係していることもあるようです。
また、若い人の場合は単純に経験や知識が足りなくて、「〇〇なんてあるはずがない」「その人は特別だから」と自分の都合の良いように考えてしまうこともありますね。

こういったとき、いきなり「変わりなさい」と言われても無理です。知らないことはできない。自分の中にないものは外から学習する必要がある。
信頼がある人から少しずつ現実を伝えられたり、過去の物語やドラマや映画などあらゆるもの中からその人が理解できるようなことを参考にしてもらったりして「こういう場合もあるんだな」と納得してもらえるといいと思います。

【行動を変えることが第一歩】
最後に、
「とにかく行動してみる」というアプローチがあります。
どんなに頭で考えても、動かなければ何も変わりません。たとえば、「お酒をやめたい」「ギャンブルをやめたい」「人間関係を改善したい」と思っている人に、「理屈はいいから、一回やめてみよう」と伝えてみる。

最初は「いやいや、それは無理だ」と反発するかもしれません。
でも、実際に一歩踏み出してみると、「あれ?意外といけるかも」と感じる瞬間が訪れることがある。
その成功体験を積み重ねることが、自分を変えていく力になります。これは茶道や伝統芸能などの師匠を真似る弟子「型から入る」というようなものです。

生活環境そのものが安心安全でない環境で日々辛い状況で暮らしている人にとって前に進む、自分が変わっていくということは至難のわざだと思います。そもそもの家庭の問題で落ち着ける場所がない時間がない。日々の生活の中で治療しながら傷付きを重ねている。
ただし、それでもそんな中でも生活環境以外の精神的に安心安全な場所を探しそこに身を置くことで変化していくことは決して不可能なことではないです。
それから,もし毒親問題が悩みの場合でもいつか必ず「歳を取る」ということで力関係が変わってくる。自分も歳を取る、毒親もおばあちゃんになっていくと過去に比べて毒のパワーは落ちる。体力の問題も加わって。そうなると今よりはずっと毒親っていうより、ただの文句の多いおばあちゃんになってくる。悩んでいる側は役にたつ体験や経験を経て良い意味でパワーアップする毒親は体力の衰えパワーダウン。そうなればしめたものです。
どうしてもそうならなさそうなら物理的にバサっと切ることも必要なのかもしれません。

《少々無理やりな例にも思いますがあえてあげる》
例えば3歳の子どもの離乳がうまくいかないことが悩みだったお母さんも5年後、もしくは15年後にそのお子さんがお母さんのおっぱいを吸っていることはないことが多い。またいま子どもさんの学校のことで苦労している親御さんも10年後には子どもが学校に行く必要がなくなる日はくる。
実際に日々大変苦しいけれど自分に合った安心安全な場所を求めてそこに身を置きつつ時を味方につけて少しずつでも前に進んでいけること願っています。

ーまとめー
《変化を怖がらないために》
人が変わるためには
 
①安全な場所を確保する
②信頼できる人との関係を築く
③現実を知る準備をする
④とりあえずできる範囲で行動してみる

この4つが大切です。
特に大事なのは
「自分は一人じゃない」と感じられること。自助会やSNSのコミュニティー、趣味などのグループなどで安心感を得られる場を見つけてそこに身を置く。など孤立しないようにできる範囲で行動していくこと。

変化を怖がる気持ちを無理に否定せず、人の助けも借りながら無理もしないといけないことも多いけど。なるべく無理せず、少しずつ自分に寄り添いながら進んでいくことが、きっと変化への第一歩になるのだと思います。自分くらいは自分の味方になって自分を責めずに済む方法を見つけて焦りながらもゆっくりを心がけて生きていきましょう。
(だって怖いもんは怖いもん。怖くない方法見つけていこう)

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