ほっこりストーリー「由流里ハウスはカオス⁉︎」
午後の陽だまりがリビングを柔らかく包み込む中、ウサギのリリィは珍しく一人きり。バイトが半休で、帰り際に買ったユーカリクッキーを片手に、ゆっくりココとお茶でも…と楽しみにしていました。
「ココ〜!ただいま〜!」
玄関から元気に声をかけたものの、返事はなし。少し寂しい気持ちでキッチンに入ると、ホワイトボードにココの書き置きがありました。
「木登り体操教室に行ってきます!おやつの時間には帰るよ〜!」
「ふうん、ココったら木登り体操なんて楽しそうなことしてるんだ…」
リリィはちょっと残念そうに耳を垂らしましたが、「じゃあ帰るまで何をしようかな」と気を取り直して、リビングに戻りました。
しばらくクッションに埋もれてぼんやりしていたリリィですが、ふと思い立って水を飲みにキッチンへ行きました。そしてそこで見つけてしまったのです―
シンクに無造作に置かれた、白く濁ったシカリンのコップ。
「また置きっぱなし…!」
リリィのピンと立った耳がぷるぷる震えます。普段は気にしないのに、今日はなんだか腹が立ってきました。
「もう、何度言ったらちゃんと片付けてくれるのよ!」と独りごちながら、ついにはコップをシンクに放り込んでしまいました。
その音にびっくりしてリビングに戻ると、部屋の片隅に畳まれたシカリンの毛布が目に入りました。
それもなんだか気になってきて、片付けようと手に取った瞬間、ふわりと微かな草の香りがしました。
「…なんだ、シカリンらしい匂い」
一瞬気が緩んだものの、毛布を抱えたまま、リリィの心は複雑です。
そのとき、玄関の扉が開きました。
「ただいま〜!木登りしてきたよー!」
コアラのココが帰ってきました。にっこり笑顔のココはリリィを見て
「あれ、どうしたの?なんだか怒ってる?」
リリィは大きな耳をだらんと垂らして
「シカリンのコップと毛布が気になっちゃって…。なんで私ばっかり片付けるの?」と話し始め溜まった気持ちを吐き出しました。
「それは困ったね。でもね、リリィ、今度シカリンに直接話してみたらどうかな?」
とココが優しく提案しました。
「文句じゃなくて、お願いするみたいにさ」
そこへタイミングよく鹿のシカリンが帰ってきました。
「ただいま〜!あれ、顔が少しコワイ。なんかリリィ、怒ってる?」
「そうよ!コップを置きっぱなしにしないでって、前も言ったでしょ!」
リリィの勢いに一瞬目を丸くしたシカリンですが、すぐに頭を下げて謝りました。
「ごめんごめん、次からちゃんと気をつけるね。でも、リリィが片付けてくれてるからおかげで助かってるんだよ」
その素直な一言にリリィは少し気まずそうにしながらも
「次からは本当にお願いね」と言って笑顔を見せました。
その後、ココが用意していたユーカリクッキーをリリィが出し、シカリンが帰りに買ってきたリンゴジュースをみんなで分け合いました。ん?ユーカリってココ以外には毒でしょ?大丈夫毒性成分はちゃんとお菓子屋さんは抜いてくれてます。
スーッとする爽やかで、程よい甘さのクッキー。
3人は無言で食べました。
由流里ハウスのリビングにはカシカシカシ、ポリポリポリリッ、ザクザクザクン、同じクッキーなのにクッキーを食べてる音は三人三様!
不思議だね、おもしろいね。
「リリィ、今日は片付けてくれてありがとう。お礼に明日、リリィの大好きなにんじんスープを作るね!」とシカリンが言うと、リリィは耳をピンと立てて大喜び。
最後は三人でいつものように笑顔に戻り、ほっこりした空気に包まれた由流里ハウス。小さな喧嘩も、みんなが一緒ならすぐに幸せな時間に変わるのでした。
なーんだ、リリィはいつも通りだね。
そーだ!寂しかっただけなんだね。そゆことあるよね
人間だも...オーっと違った。動物だもの笑。
めでたし、めでたし!