『人の短編集』 原田宗典
久しぶりに原田宗典さんの本を読んでいる。
『人の短編集』
とっても短い掌握小説集だ。
どの主人公にも誰しも共感するところがあるだろう。
わたしが冒頭と最後ともに、同意とうなづいたのは
『タクシードライバーの憂鬱』。
冒頭はこちら、
名前なんかなければいいのに、と彼は時々思う。
わたしは、名前を外したときの清々しさを知っているので、「本当に」と思う。
名前を外す瞑想は、おすすめだ。
苗字には、先祖から受け継いだしがらみ、無念さ、恨みつらみなども付いている。
名前には、名前をつけた人の期待や、使命が込められたりしている。
もう、恨みつらみもいらないし、使命もいらない。
短編はこう続く。
人間同士がいがみあったり、気を遣ったり、見栄を張ったり、殺し合ったりするのは、もしかしたらそれぞれに固有の名前があるせいなのではないかと、ぼんやり思ったりするのだ。
そう、
自分という個があると思ってしまったことから起こっているのだろう。
先祖の確執とか、当事者じゃないのに、記憶がないのに、受け継がれたりするものもあるのだろう。
主人公のタクシードライバーは、物思いに耽るのが好きで、名前のことも物思いの一つである。
そして最後、
「あの男は幸せそうではない」彼はそう思った。
「何か重大な勘違いをしている。トラヴィス以下だ」
トラヴィス以下かはわからないが、わたしもそう思う。
というか、
勘違いして生きているのが『人』なのだろう。
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