久しぶりの場所で ~庭園美術館~
少し時間がたってしまったけれど、久しぶりに目黒の庭園美術館に行ってきた。
東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM (teien-art-museum.ne.jp)
美術館に行くのは好きなのだけれど、その中でもこの庭園美術館はことのほかお気に入りで、開館以来何度訪れたかわからない。
展示を見に行くというより、建物や庭を含んだこの空間を訪れるという感じで、企画展示がないときも何度も訪問したぐらいお気に入り。
旧朝香宮邸だった、アールデコの建築のこの建物は私の理想の場所のひとつなのだ。
ところが、ここしばらく全然来ることができなくて、ものすごく久しぶり。
どれくらい久しぶりかというと、改修工事がされてから訪れていないのだけれど、改修工事が終わったのが調べてみると2014年。
過去の展覧会の記録もそれ以降しか遡れないので、最後に見たのがなんだったのかもわからない。
震災の後に来た記憶がないので、もしかしたら、十数年ぶりかもしれない。
そんなわけで今回も展覧会の内容以前に、久しぶりの庭園美術館ということで、めちゃめちゃテンションがあがっていたのだけれど、展示の内容も思った以上に自分よりで、改めて1910~1930年代の面白さと美しさにふれることになった。
そして
改装された美術館は、本館はほぼ以前どおりだが、新館は大胆に変わって、明るく、広々としたギャラリーとカフェがあり、ミュージアムショップも広々としていた。
映像コーナーも整っていて、この日は映画の上映をしていた。
本館のイメージとうまくつなげられた新館は現代美術家の杉本博司氏がアドバイザーとして入ったとのことで、ああ、なるほどと思わせるモダンな空間に仕上がっている。
東京都庭園美術館|リニューアルについてのインタビュー|杉本博司 (teien-art-museum.ne.jp)
公式HPより
とても素敵な空間なのだけれど、ちょっとだけ、なぜかミュージアムショップがなくて、受付ではがきぐらいしか買えなかったこととか、超超特大のソファでお茶を飲めたカフェのこととか、むかーしの庭園美術館が懐かしくなったりもした。
小耳にはさんだ話なので真偽のほどはわからないが、開館当初の職員は、朝香宮邸で働いていた方たちだと聞いたことがある。
展示のお部屋で座っている職員の方々が、ものすごおく品のいい年配の方たちで、さもありなんと思ったものだった。
今はもう、何十年もたって、そのころの方たちは残ってはいないと思うけれど、ゆっくりとした時間の流れは変わらない気がする。
私にとって、居心地のいい場所は健在だった。
そして、こんなにも長い間来ていないという事実に改めて衝撃を受けたのだけれど、この十数年が私にとって、そういう時間だったのだなあと、しみじみ思った。
休日に美術館に行ってゆっくりお茶を飲む。
これは私にとって、けっこう大事なことなのだけれど、そういうことができない日々が続いていたのだ。
久しぶりに庭園美術館に行って、本来の自分に少し戻った気がする。
実際にできるかはわからないけれど、今の私は、自分にとって大事なものをもう一度選びなおしていこうと思っている。
この日は東京がものすごく寒かった後で、庭園の池にはまだ氷が残っていたのだけれど、早咲きの梅も咲いていた。
次は、花の咲く時期にまた行こう。