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【論文要約】朝と夕方 どちらの運動がメタボの改善に効果的?

メタボリックシンドロームは、心血管疾患や2型糖尿病のリスクを高める重要な健康問題です。
運動はメタボリックシンドロームの改善に効果的ですが、その実施時間(朝 vs. 夕方)によって効果が異なるのかは明らかではありません。

Efficacy of morning versus afternoon aerobic exercise training on reducing metabolic syndrome components: A randomized controlled trial(2024)」では、朝と夕方の運動がMetSの改善にどのような影響を与えるのかを検証しました。

研究目的

本研究の目的は、高強度インターバルトレーニング(HIIT)を朝または夕方に実施した場合のメタボリックシンドロームの改善効果を比較することです。
特に、体組成、心肺機能、血圧、血液マーカー(インスリン抵抗性など)への影響を評価しました。

研究方法

本研究は無作為化対照試験(RCT)として実施されました。

対象者

  • メタボリックシンドロームを有する139名(男性90名、女性49名、平均年齢約57歳)

  • 3つのグループに無作為に割り付け

    • 朝運動グループ:42名

    • 夕方運動グループ:59名

    • 運動なしの対照グループ:38名

運動プログラム

  • 期間:16週間

  • 頻度:週3回(合計48回のセッション)

  • 内容:高強度インターバルトレーニング(HIIT)

    • 10分間のウォームアップ(最大心拍数の70%)

    • 4分間の高強度運動(最大心拍数の90%)×4セット(3分の回復時間を挟む)

    • 5分間のクールダウン

評価項目

  • 体組成(体重、体脂肪、除脂肪体重)

  • 心肺機能(最大酸素摂取量:V̇O2max、最大脂肪燃焼量)

  • 血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)

  • 血液マーカー(インスリン、HOMA-IR(インスリン抵抗性指数)、血糖値、脂質プロファイル)

  • メタボリックシンドローム Zスコア(MetSの総合的なリスク指標)

測定は運動開始前と16週間後に行われました。

研究結果

体組成

  • 体脂肪の減少

    • 朝運動:-0.8kg(P=0.009)

    • 夕方運動:-0.6kg(P=0.015)

    • 対照:+0.6kg(P=0.04)

  • ウエスト周囲径の減少

    • 朝運動:-2.3cm(P<0.001)

    • 夕方運動:-1.9cm(P<0.001)

    • 対照:変化なし

心肺機能

  • 最大酸素摂取量(V̇O2max)の向上

    • 朝運動:+16%(P<0.001)

    • 夕方運動:+11%(P<0.001)

    • 対照:変化なし

血圧

  • 収縮期血圧の低下

    • 朝運動:-5.5 mmHg(P=0.006)

    • 夕方運動:変化なし

    • 対照:変化なし

  • 拡張期血圧の低下(両グループで有意)

    • 朝運動:-4.6 mmHg(P<0.001)

    • 夕方運動:-2.9 mmHg(P<0.001)

    • 対照:変化なし

血液マーカー(インスリン抵抗性)

  • 空腹時インスリン濃度

    • 朝運動:-12%(P=0.002)

    • 夕方運動:-5%(変化なし)

    • 対照:+7%(P=0.038)

  • HOMA-IR(インスリン抵抗性)

    • 朝運動:-14%(P=0.006)

    • 夕方運動:-4%(変化なし)

    • 対照:変化なし

メタボリックシンドローム Zスコア

  • 朝運動グループが最も大きく改善(-52% vs. -19%、P=0.021)

  • 朝運動グループは夕方運動グループよりもメタボリックシンドロームの総合リスクが低下

考察

  • メタボリックシンドローム改善効果は、朝の運動の方が大きい

    • 収縮期血圧、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム Zスコアの改善幅が朝の方が大きかった

    • これは、朝の運動が体内時計(サーカディアンリズム)を調整し、代謝を改善する可能性があるためと考えられる

  • 体脂肪や心肺機能の改善は、運動時間に関係なく有効

    • どちらの運動グループも、体脂肪の減少と心肺機能の向上を達成

    • したがって、運動を行うこと自体が重要

  • 食事タイミングと運動時間の関係が影響を与える可能性

    • 朝の運動グループの食事(朝食)は、夕方の運動グループ(昼食)よりも低カロリーだった(424 kcal vs. 828 kcal)

    • これがインスリン抵抗性の改善に寄与した可能性

結論

  • メタボリックシンドロームの改善には朝の運動がより効果的

    • 収縮期血圧の低下

    • インスリン抵抗性の改善

    • メタボリックシンドローム Zスコアの大幅な減少

  • 体脂肪減少や心肺機能の向上は、朝・夕方どちらの運動でも得られる

  • 食事の影響も考慮する必要がある

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