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公立中学校を見える化すれば良い

私には通信制高校に通う高1の息子がいます。彼は教育のスタイルが合わず、地元の公立中に通っていた中1の3学期に不登校になりました。

中2の7月からは、N中等部という角川ドワンゴ学園が運営するフリースクールに週3回通い、公立中とは異なる学びを経験しました。

N中等部での様子は他の投稿にてご覧いただけます。

私は息子の不登校を通じて、教育関係のさまざまな方と意見交換をしてきました。

通っていた公立中の先生や、行政の教育長や教育委員会の方々、他の自治体で教員をやっている方/やっていた方、教員という立場でなくても教育に携わっている方々。

実は私はこれまで、小学校では「読み聞かせボランティアグループの代表」「PTA役員」「周年委員」「卒対委員」などを、保育園では「父母会の会長」を経験し、少年野球チームの運営などにも携わってきました。

今年からは、小5の次男が通う公立小学校で、コミュニティ・スクール委員と地域コーディネーターをやっています。

さまざまな立場や多様な考えの方と接する機会が多く、多様な子どもや家庭に関わってきた中で、気づいたことがあります。

それは、こんな仮説です。

「公立中学校をもっと見える化したら、世の中が変わるんじゃないか?」

その根拠をまとめたものを、以下に紹介します。

中学校の情報が得られない

公立中に通わせたくない、なんとなく。

私立校などとちがって、とにかく情報がありません。よくわからないのと、公立中はよくないらしいという悪いイメージを持っている小学生の親御さんは少なくありません。塾の先生からの情報もあるかもしれませんね。

私立中は生徒を集めるために情報発信も一生懸命やっています。ホームページやSNSでの発信を見ると、魅力的に見えます。中学受験さえ乗り切れば、高校受験や大学受験の時に楽できるからという理由で、私学を選ぶ家庭も少なくありません。

公立中は、外部の目にさらされていない

情報が開かれた時代になりましたが、公立中学校はいまだに閉鎖的と言えるのではないでしょうか。隠蔽体質とまでは断言しませんが。

結局のところ、通っている当事者にしかわからないことがほとんどです。

なぜならば、積極的な情報発信を行なっているわけではないので、外部からのフィードバック(耳の痛い苦言を含む)を受ける機会が少ないです。

その結果、本質的な問題が可視化されにくい状況です。結果として学校が変わっていきません。時代に取り残されたまま、という状況が続くことになります。

多くの公立中での情報発信

自治体によって取り組んでいるレベルがさまざまですが、現在は多くの公立中学校がホームページでの情報発信を行なっています。

現場の先生がたは時間のない中で、一生懸命発信されているのだと思います。その尽力には敬意しかありません。

一方で、現在の公立中のホームページは、デザインが古く、時代に合っていないように感じます。とにかく、見にくくて、わかりづらいです。

見にくいし、得たい情報がのっていないので、その学校の魅力がほとんど伝わってきません。給食を毎日更新している学校が多いけど、ネットの閲覧者が知りたい情報ってそこじゃないんじゃないかと思います。

本当にほしい情報というのは、学校の方針だったり教育のポリシーだったり、実際にどんな教育が行われているのかとか、子どもたちがどんな様子で学校で過ごしているのか、実際に通っている生徒や保護者の声などではないでしょうか?

ネットリテラシーの低い人が、がんばって更新している感を感じずにいられません。これこそ、業務のミスマッチと言えるでしょう。

結果的に、必要な人に見てもらえない残念なホームページになっています。

多くの小学生が中学受験をしている現状

東京都内を中心として、中学受験が過熱しているというニュースをよく見かけます。

中学受験をする代償として、小学生にはどんな生活を送っているのでしょうか。もちろん、勉強が好きな小学生、自分自身が納得して受験に挑戦している小学生もたくさんいるでしょう。

ですが、周りの小学生の生活を見ていると、これで良いのかなと、人ごとながら、なんだか心配になってしまうのです。

私が考える中学受験の弊害は、なんと言っても、塾通いのために、小学生の時に小学生らしい過ごし方ができないこと。

遅い時間に帰宅・・・夜遅い時間まで塾で過ごしているため、家族で食卓を囲む時間が限られてしまいます。大みそかやお正月だって塾で勉強している子は多いですよね。

遊び不足・・・小学生のころって、たくさん遊びたい時期だし、遊びが学びにつながったりするものだと思うのですが、遊びたいのを我慢しないといけない。

習いごとやスポーツを断念・・・中学受験が理由で、習いごとやスポーツをあきらる小学生はとても多いです。

運動不足・・・遊ぶ時間やスポーツの時間が限られてしまうので、自ずと運動不足に陥ります。

睡眠不足・・・小学校に読み聞かせに行くと、高学年の子たちが疲れているんです。もちろん、塾や受験勉強のせいだけではないと思います。ですが実際に、「塾の宿題が終わらない」という声を聞くことがかなり多いです。

詰め込み型の勉強・・・中学受験を志したなら、かなりの量とレベルの問題に取り組むことになります。知識が増えるとその子の世界が広がるという大きなメリットはありますが。

過当競争・・・小学生のうちから、過当競争に巻き込まれてしまって良いのか疑問に感じることがあります。

公立中に通う子が増えたなら

現在私学に通っている多くの子が、公立中学校に通ったら、どんな世界になるのか想像してみました。

地域への関心・・・中学生が地元の中学校に通うことによって、地域への関心や理解が深まると思います。中学卒業までを地元の中学で過ごすことによって、地域のファンになってくれる確率が高いのではないでしょうか。

地域への回帰・・・地元の中学で過ごした人は、高校や大学や社会人としての経験を経て、いずれ地元に戻りたいなと考えてくれる人が多いのではないでしょうか。

地域活性化・・・中学生が地元の中学に通うことによって、地域のお店や地域の会社のサービスを利用することにつながり、多少なりとも地域の活性化につながるのではないでしょうか。

意識の高い保護者の活用・・・また、私自身も経験しましたが、小学校時代にはPTA役員をやっていた保護者など、意識が高い保護者がいる家庭の一定数が私立中学に行ってしまうという現象も見受けられます。公立中学校に比べて、公立小はある程度開かれてきている、時代の変化に合わせて変容しようとしているように見受けられますが、公立中については変革をよしとする保護者が小学校時代に比べて一気に少なくなるように、私自身は残念に感じています。

結果として、公立中はなかなか変わらないんです。
どうしたら良いでしょうか?

情報発信に予算を使う

前にも挙げたように、公立中のホームページ発信に予算をかけることが、教育改革の一助になるのではないかと考えます。

公立中のホームページを刷新すれば、

良い教育をしている学校には、モチベーションの高い生徒が通うようになり、学校の魅力につながり、学校が活性化します。

改善すべき学校は、外部からの第三者の声が入ることによって、問題意識が高まり改善につながる行動をとるようになります。素人の目線からは、現在の公立中は、教育委員会と保護者さえおさえれば、ある程度なんとかなっているように見受けられます。

現在の中学校では、通っている生徒や保護者は意見が、状況の改善に向けた前向きな意見を言いにくい構造があります。高校入試につながらる「内申点」の存在があるためです。学校に意に沿わないコトをいえば、わが子の進路や将来に関わってきますよね。ならば、言わない方が得策と考えるのは自然なことでしょう。

ホームページ等で情報発信することによって、民間企業のように多様な意見を取り入れることで、耳の痛い意見にも耳を傾けるようになるのではないでしょうか。

お金の面で言えば、公立中に進学する人が増えれば、私学まわりで国や自治体が負担する金額が少くなるのではないでしょうか?

現在は、公立校だけでなく、私立校にも多額のお金がまわっています。それが必ずしも悪いことだとは言いません。

でも、今よりも公立校に通う子が集中すれば、もっと効率の良い税金の使い方ができるのではないでしょうか。

親自身だって、私学の学費負担が減れば、別のことにお金を使えて、経済が良い形で循環していくのではないでしょうか。

以上が、私が「公立中学校をもっと見える化したら、世の中が変わるんじゃないか?」と考える理由です。

公立中学校の情報発信をするための課題

もしも予算を獲得することができたなら、次の課題は情報発信の目的にかなった適正な技術者を確保することではないでしうか。

ウェブやITスキルの高い人
情報の品定めや取捨選択ができる人
道徳観や倫理観を持ち合わせている人
マーケティングのセンスを持ち合わせている人
学校や教育への理解や関心の高い人
ネット炎上のリスクが低い人

こういった人に業務にあたってもらうために、選ばれた人には、行政が開催する講習を受けるなど、定期的に必要なことを必要とされる水準で学び続けている人が良いと思います。

とはいうものの、誰に頼む?どこの業者に頼む?というのは簡単な問題ではないですよね。これらの条件がクリアできた上で、公立中の情報が今よりももっと開かれた形で公開されることを望みます。

お読みいただき、ありがとうございました。

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