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URAMI & TSURAMI

 夏休みと聞くと夏休みの宿題を思い出し、今でもどんよりした気分になる。特出した嫌な思い出はないが、宿題の存在がいや。とにかく量が多すぎた。
 国語のドリル、算数のドリル、漢字練習、自由研究、朝顔の観察、写生、読書感想文。多い、多すぎる。ドリルや漢字練習は毎日コツコツやれば、何てことはない。それは小学生の私でも分かっていた。しかし出来なかった。

 ドリルは8月半ばを過ぎてからまとめてやった。ドリルにはやった日の天気を書かねばならず、適当に曇りの日を作り、あとは全部晴れにした。朝顔は学校から持って帰って1週間で枯らした。日々枯れていく朝顔の観察日記しか書けず、まずいと血の気が引いた。その後どうしたのか記憶がない。写生は母が描いた。漢字練習で生まれて初めて徹夜を経験した。
 繰り返すが、夏休みの宿題のほとんどは、毎日決めた量をコツコツ進められれば良いのだ。だが義務教育の9年間、毎年それが出来ず、毎年嫌な思いをした。この経験から私は「コツコツ」系のものは全て苦手だと思い込んだ。これは大人になってからの仕事選びにも影響する。 

 30代後半になり、私は突然コンドーム自販機を巡り始める。なぜこんなことをしているのかは、別のnoteで書いているのでそちらを読んでほしい。 
 現在コンドーム自販機が、何台あるかわからない。恐らく全国に数千台で、1万台は無いだろうと思っている。少ないコンドーム自販機を巡るには予め探しておく必要がある。 
 今一番多くコンドーム自販機を見かけるのは個人経営の薬局前だ。まず行きたい地域をグーグルマップで「薬局」と検索する。次に個人経営と思われる店名の薬局をストリートビューで自販機があるかどうか、1つ1つ確認する。検索ワードを「ドラッグストア」に変えて再検索したり、薬局の次に自販機がある「タバコ屋」「酒屋」にも変更して更に検索したりする。それもストリートビューで1つ1つチェックして、コンドーム自販機を探し出すのだ。

「ん?この作業、めちゃくちゃコツコツしてない?」 

 私はコツコツが苦手じゃなかったのか?むしろ楽しいのだが?もしかして、私はコツコツが向いている?いや。コツコツは、めちゃくちゃ私に向いてる!そう気が付いたのは、ごく最近だった。 

 私は夏休みの宿題から、私はずっとコツコツが苦手だと思い込んできた。そう思って仕事も、コツコツしたものは避けてきた。夏休みの宿題でコツコツが苦手と思い込まなければ、もっと良い別の仕事に就いていたかもしれない。おのれ、夏休みの宿題め…と恨み辛みを言いそうになる。 
 だがこの発見、実はとても嬉しい。コツコツと自販機巡りは楽しく続けているし、コツコツが得意と分かったおかけで、仕事の幅も広かった。何より、大人になってから自分の良いところを見つけられたのが本当に嬉しかった。遅れて見つかった自分の得意は、今の私をとても充実させている。

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