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瀧にきて鮭ひるがへる冬の空

七十二候の【鱖魚群】に入ります。
「さけのうおむらがる」と読みます。一年を72に分ける七十二候の63番目です。二十四節気「大雪」の末候になります。
鮭が群がって、川をさかのぼっていくころ。12月21日まで。

日本で生 まれたシロサケは2~4年かけてアラスカ湾 までの数千キロの範 囲を大回遊してふるさとの川にもどってきます。

鱖魚群 Sake no uo muragaru
“Salmon gather and swim upstream.”  December 17-21
〔gather;集まる upstream;上流に〕

この母川回帰(ぼせんかいき)のメカニズムは、いまだに謎です。視覚と磁気を頼りにして、日の出・日の入りの太陽の角度と体内にある磁気センサーがコンパスの役割をはたし、自分の位置を割り出しているという説が有力です。生まれた川にふくまれているアミノ酸の匂いで判断し、それをたどってくるという説もあります。いずれにしても本能を頼りに生き抜く姿に感動します。

秋になると冬鳥がシベリアなどから渡ってきます。鳥はどうやって方向や位置がわかるのでしょう。おおまかに南や北へ向かうときは、太陽や星座の位置をたよりにします。また、地球の磁気を体内の方位磁針を使って方向を知ります。風の影響も考慮して。あるていどのところまで行ったら、地形の記憶をたよりに飛び、さいごは目で確認して目的地にたどり着くのです。

富士を見て
舞い降りきたる
湧霊(わくたま)の
氷らぬ池に
二羽むつみあふ

写真:鴨が泳いでいるのは、富士山本宮浅間大社(富士宮市)の湧霊池(わくたまいけ)です。この水は、霊峰富士の雪解け水が溶岩の間から湧き出るもの。昔から富士詣する道者は、この池で身を清めて、六根清浄を唱えながら登山するのがならわしでした。春になったら鴨は、清めた体で故郷のシベリアへ。

あなたが幸せでありますように 
琵琶湖のほとりの草庵にて
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