「家庭」を見直す。
先日″不登校と家庭″というテーマで投稿しましたが、その中で「家庭」の崩壊を「家族」・「家」という縛りを強化して、「自助」によって最小限の共同体として復活させるのでなく、「家庭」の構成員である「個人」が自立することを「公助」で支援するような社会が望ましく、それによって「個人」なりのそれぞれの価値観において、安心・安全で幸せな「家庭」を含めた私的な共同体の確保が実現出来る。
その私的共同体の確保が、社会全体を安定した皆さんが「生きづらさ」を感じない共同体にすることが出来る。といった私見を述べさせていただきました。
私自身の主テーマである不登校(多様な学び)に関連して「家庭」や「政治」のあり方について自分なりに研鑽していますが、今般、敬愛する白井聡さんのYouTubeで紹介されたいた信田さよ子さんの「家族と国家は共謀する」(角川新書)という著書にて DVにフォーカスして「家庭」、「家族」の問題が深掘りされていましたので触れていきたいと思います。
信田さんは心理の熟練専門家(カウンセラー)で、ご自身のセンターを開設されて、DVや虐待、アルコール依存症をはじめ、親子・夫婦関係、アディクション(嗜癖)に悩む人たちやその家族、暴力やハラスメントの加害者、被害者へのカウンセリングに従事されているとのことです。
特に、子どもへの虐待だけでなく、夫婦間(主に夫から妻へ)の肉体的(性的含む)暴力や言葉の暴力、その行為を面前で見せられる面前 DVといった、私自身今まであまり知らなかったことについて詳しく触れられています。
初めて認知するような内容も多かった(文中で男🟰夫側はそういう人が多いとの指摘もあります。)のですが、まず驚くのが夫婦間の五人に一人あるいは三人に一人といった割合で DVが発生していること。「家庭」内は私的な空間であり、身内間の問題であるということで、暴力が放置されてきただけでなく、主な加害者である夫に加害認識がないのに加えて、被害者である妻の方も「しょうがないこと」🟰誰にも訴えることが出来ないこと。「自分のせいである」🟰暴力の原因は自分の責任という認識で、最近まで DVは暴力であり加害、被害という法律的にも責任が生じる、社会的にしてはいけないことという認知が乏しかったということです。
またDVの被害は家族間で発生することから、通常の暴力以上に被害者を深く、長期間(一生)苦しめることになると共に、加害者においてもアルコール等アディクション(嗜癖、依存症)という不健全な状況の継続や子どもへの連鎖という問題に繋がる改善を要する重大な問題であるとのことです。
そして「家庭」の「公助」支援の中でも緊急性の高い課題ということですが、この問題のポイントは社会的支援の前に、被害者が被害者であるという認識を持ち(自覚出来ないケースも多いとのこと)加害者に対抗するアクション(信田さんがいうところの「レジスタンス」)をカウンセラーはじめ信頼できる人たちと起こしていく「自助」をしていかなければならないということです。
「家庭」が安心・安全の場でなくなっている場合には、外の「社会」以上に「個人」を自覚して行動する必要がある。つまり「レジスタンス」という言葉の通り、政治的な意味を持った行動が重要であるということです。
私の周囲でも夫婦関係や親子関係の破綻という話はよく耳にしますが、夫側から聞く場合が多いので、聞いたニュアンスより深刻なケースもあるのかと思いますし、肉体的暴力だけでなく言葉や態度ということを含めると、私を含めて他人事ではない「家庭」が多いのではないでしょうか。
不登校支援には社会の包括的支援が必要であり、その前提として「家庭」内の安心・安全確保や愛情が重要であるという認識で活動していますが、「家庭」の足元を再確認することが必要であると強く感じました。