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ナッツな公園 (エッセイ)



              (約1000字)

小学校低学年の頃すべり台が苦手だった。
なかなか滑れなくて躊躇してると待ちスペースが、だまになってきてブーイングらしき声が聞こえる。
     「早くすべろよー‼︎」


自転車に乗れるのも早かった。
ブランコは全く怖くなかった。
ビュンビュン漕いで「一回転できたらいいのにな」の気持ちだった。




ある日ビュンビュン漕いでるブランコに
少し年下らしき子が近づいてきた事覚えてる。
恐怖だった。
誰も乗ってないブランコが当たっただけでも
痛いのに…
大怪我するのじゃないかと子どもながらに
とっさに考えたのが不思議だ。(多分8歳)



大怪我をさせたらの恐怖心でブランコから
飛んだ事を覚えてる。
(そんな行動おこすのはやっぱり子どもだ)
地面に叩きつけられた。
しばらくじっとしてた。意識はあった。
何事も無かったように皆は普通に遊んでる。
親が公園についてる時代でも無かった。


痛みはあまり感じなくて、しばらくして立ち上がった。
近づいて来た子の姿は無かった。
膝と肘に擦り傷があったが帰っても親に何も言わなかった。



その後も相変わらず公園に行く。
すべり台は相変わらずモタモタしてる。
ブランコはビュンビュン漕ぐ。
どちらが私らしいんだろう。
あの時大声で「危ない‼︎ 」と叫べば済んだ事だったのに。




冬の誰もいない公園ですべり台を見ながら小学生の頃を思いだし、年を重ねても気性はあまり変わらないなと苦笑する。
ダウンジャケットのポケットに入れてたミックスナッツの小袋を取り出しカリッと噛み砕く。




ふとミックスナッツの歌が頭をよぎる
✴︎『袋に詰められたナッツのような世界では』
すべり台の待ちスペースだまになって詰められた感じ苦手だな。



✴︎『揺らり振られても割れない殻みたいになるから』勢いよいブランコから飛んでも大丈夫だったよ。



子ども達がたくさんいた公園には誰もいない。
✴︎「いけない…『Pretender』の歌詞がミックスされてきた。もとい」




今は…
ミックス(異なる要素が混ざり合って新しいものを生み出す)より、ブレンド(異なる要素がなめらかに調和される)が好まれる。


あの頃公園で色んな子と交流するのは楽しかった。ケガもつきなかったけどその後知恵となった。



「帰る時間だよ」の夕暮れだけは変わらない。
 ミックスに身を任せた大人達は
 今や…ナッツは減塩でいい
 高音すぎるとノドに沁みるね

    ✴︎『そりゃ苦しいよな』…。



          完

最後までお読みいただきありがとうございます。



※引用文献
 ✴︎Official髭男dism 『ミックスナッツ』
         &
      『Pretender』

        

                サブリナ

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