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sweet memories (ショート)
(約620字)
sweet memories 「甘い思い出」
美那子は香水が好きだった。
グッチのエンヴィ ミーという香水があった。
オシャレな細い長方形の形で薄いピンクの格子柄
フローラルスキムフルーティーの香り。
トップは甘く誘惑的なピンクピオニー
ウォータージャスミン
ピンクペッパー
ミドルはライチ、ザクロ、パイナップル
ピンクムスク、セリンガ、ホワイトティーと
みずみずしく爽やかな香りと変化していく。
甘く魅惑的な香りから、みずみずしく爽やかな香りへと変わる。
出かける前に右手で持ち、宙からひと吹きしてクルッと一回転する。
芳しい香りがほんのりと体中をまとってくれる。
たまに通りすがりの人から香ってくる。
マスクを外してからの香りは嬉しい。
その香りの通りすがりの人を振り返ってみた。
若い女性だった。華やかな人だ。
違う…華やいでた自分を見出しただけだ。
もう廃盤になってるエンヴィ ミー
空になってる容器を嗅ぐと、微かな甘い香りと共にあの頃の華やいでた自分をアレコレ思い出す。
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新しい私の香りを見つけないとね。
あれほど迷わなかった香り選び。
良い匂いに後ろ髪を引かれる。
突然…
sweet memoriesが一気に香り立つ。
想い出に捉えられる。
✳︎✳︎✳︎
我に返り、真正面前の木をまっすぐ見る。
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風にふかれ柔らかい香りだ。
美那子は咲き誇る芳香な香りを後にして
静かに舞うような花やかな香りを見つけにゆく。
FIN
※引用文献 Gucci Celes
サブリナ