小さな命の灯し火 【 お正月 】 ( 愛犬との最後の記録 2 | 2024年1月1日 )
*****
2023年12月28日、余命半年と診断された愛犬ここちゃんとの生きる今を書いています。
*****
昨年末に余命半年と言われた愛犬のここちゃんと何とか年を越すことができた。
あまりの出来事に心も体もついていかない日々が続いたが、何とか少しずつ僕もここちゃんも落ち着きを取り戻しつつある。
覚悟も気持ちの整理もまだまだ。
この先ずっとずっとできないかもしれない。
それでもとにかく「明るく楽しく」ここちゃんと過ごしていこうと心に決めた。
命の危機からいったん脱した愛犬。
動物病院で看護師の方が言ってくださった、
「この余命はここちゃんがくれたかけがえのない時間ですよ」
という言葉を励みに、今日までやってこられた。
そしてようやく、ここちゃんと迎えた新年の様子をこうして書けるまでになった。世間の流れと僕の感覚はまだ大きな時差があるようだ。
ここちゃんと迎えたお正月。
新年の挨拶は、「疲れたなぁ」だった。
元旦、朝から遠方の動物病院に行き、家に帰ってくると辺りはもう暗くなっていた。
心身ともにくたくたになり、部屋で一緒に一息ついたところでようやくこの新年の挨拶を交わした。
お気に入りの電気毛布の上で寝転ぶ小さな体を撫でながら話しかける。
「ここちゃん、お疲れさん。よくがんばったな。俺も疲れたわ。今年もよろしくな」
(飼い主が愚痴ってどないすんねんな)
そんな吹き出しつきの顔でここちゃんが凝視してきたので、思わず笑ってしまった。
犬は時折、非言語で心の声を聞かせてくれることがあるということを10年、一緒に過ごす中で日々感じてきた。そしてそれは言葉よりもまっすぐに胸に届いてくるから不思議だ。
一息つくと、何かお正月っぽいことがしたくなった。季節感やイベント感は大切にしたい。
冷蔵庫からクリスマス前に買った、お正月の置物と、ここちゃん用のお雑煮を机に並べると、初めて新年の実感が湧いてきた。
お雑煮の威力はすごかった。
どこにそんな元気が残っていたのかと思うほど、驚くべき勢いでお雑煮の器に口から突っ込んでいく。
元気な姿や楽しんだり喜んでいる姿を見ることほどうれしいことはない。人間の親が子に抱く気持ちと同じ。いつだってその子の幸せを願うものだ。
ある意味で、これほどここちゃんの幸せを喜び、願ったことは今までなかったかもしれない。
(このまま時が止まればいいのに···)なんて叶いもしない想いに胸が熱くなってきたりして、初めて抱く切実な感情に苦しくなるほどだった。
決めた、今年の抱負。
「生きる」
とにかく生きる。
ポジティブな時もネガティブな時も、その時々の感情をしっかり抱えて一緒に生きる。
振り返った時にそこに瑞々しい緑が広がっていればいい。今は今を生きていく。
今年は感情の振れ幅の大きい1年になりそうだ。
どうか実り大きな1年になりますように。
さぁ、まずは腹ごしらえだ。
【 2024年1月1日 虎吉パパより 】
*****
三羽烏さんが記事の中で今の僕とここちゃんの気持ちに触れてくださいました。
三羽烏さん、ありがとうございます。
よかったね、ここちゃん。
*****