10 / 55、 とーとさん 【 企画 | 虎吉の交流部屋初企画 】
虎吉のトップページ固定記事「虎吉の交流部屋」内で、この夏、以下のシークレット企画「虎吉の交流部屋初企画」を開催しておりました。
● タイトル : 季節のnote(7月)
● 募集期間 : 7/1 ~ 7/31
● お 題 : 7月の季語から1つ以上選び、
それをテーマに自由に書く
そこで今回、ご応募いただいた作品を、応募いただいた日時の早い順に紹介させていただきます。
【 10 、とーと さん 】
● 季語 : 花火
🌳① 感動、感激、共感、ポイント
どの部分が、というより内容そのものがもう感動
的です。短編小説なので字数は多いのですが、出だし部分からどんどん引き込まれ、気づけば結末まで来ていたという感じです。
男女の複雑な気持ちやそれぞれの選んだ選択にもすごく共感できますし、現実でもありそうだなと思うくらいリアルな内容のお話です。
7月という爽やかな初夏をイメージしやすい季節において、これほど切ない短編を描ける作者の世界観に深い感動を覚えました。
今回の企画の趣旨を、「エッセイ等に限らず、短編や詩など幅広いジャンルから募集する」ということにして本当によかったなと思える作品でした。
🌳② 作品から感じる作者の印象
短編小説を書き慣れていらっしゃる方なんだろうなぁ、という印象をまず受けました。
心理描写や風景の描写、伏線など、巧みにえがかれており、見事な作品でした。
この作品に対する自己評価はそれほど高くはないそうで、常に冷静で、もっといいものを作ろうという意欲や向上心を持たれた方のように感じました。
とーとさんの作品をきっかけに、僕ももっとnote上で短編も読んでいこう、と思わされる作品でした。
🌳③ 作品への感想
とーとさんから投稿いただいたのはこの企画投稿の中で最初の短編小説というジャンルでした。
内容がよく考えられていて、かつ感動と切なさで、フィクションと分かりつつも胸が焼けるように熱くなりました。
フィクションでありながらも、現実にありそうなお話で、決して結ばれることのない男女2人が出会い、その後どうなったかまでをえがかれた切ない大人の恋物語です。
僕個人の感想としては「感動しました」の一語に尽きます。花火という季語には華やかなイメージと切ないイメージとがありますが、この作品は後者を描いた物語です。
例えば前半の、「このクラゲたちは自分が水槽の中に入っていることに気づいているのかなぁ」というセリフが後半で深い意味を持つように、伏線も上手く随所に描かれています。
花火大会ではなく、線香花火という設定も物語の切なさをより深いものにしているように感じます。別れを告げる女性の気持ちに男性もうすうす気づいていたのではないかと思います。
季語は「花火」一語ですが、作品の中で、「水槽と人生」、「太陽と線香花火」、が見事に重ね合わせられています。
今回の企画は7月の季語がテーマでしたので、明るく爽やかな記事が多く集まる中で、とーとさんはその7月の季語から「夏の始まり」ではなく「夏の終わり」を連想してこの記事を投稿されたことに思わず、「お見事 ! 」と唸ってしまいました。
作者のとーとさんはこう語られています。
「線香花火というとどうしても夏の終わりのイメージだったので。現実世界でも、こういうことは多々あると思いますよ。漫画の黄昏流星群のような」
ちなみに作中に出てくる旅館の酒田屋ですが、実在するそうです。日本海に沈む夕陽を眺めながら、のんびり過ごせる宿だそうです。
ぜひ多くの方に読んでいただきたい記事です。