24 / 55、 sioさん 【 企画 / 虎吉の交流部屋初企画 】
虎吉のトップページ固定記事「虎吉の交流部屋」内で、この夏、以下のシークレット企画「虎吉の交流部屋初企画」を開催しておりました。
● タイトル : 季節のnote(7月)
● 募集期間 : 7/1 ~ 7/31
● お 題 : 7月の季語から1つ以上選び、
それをテーマに自由に書く
そこで今回、ご応募いただいた作品を、応募いただいた日時の早い順に紹介させていただきます。
【 24 、 sioさん 】
● 季語 : 暑中見舞い
🌳① 感動、感激、共感、ポイント
内容そのものがドラマを見ているような、感動的なストーリーでした。ストーリーの中にもよく読むと色々な伏線が描かれていていることが分かります。
植物、花、庭、に関する描写が見事で、日頃から実際に庭仕事をされているsioさんだからこそ書ける物語のように感じました。
季語に暑中見舞いを選ばれていますが、暑中見舞い自体をテーマにするのではなく、1つの重要な要素としてごく自然に物語の中に入れられておられる点にも感激しました。
非常によく練られた秀逸作品だと感じます。
🌳② 作品から感じる作者の印象
植物や花や庭を心から愛してらっしゃる方なんだなと改めて実感しました。
sioさんの他の作品を見てもこれらを中心にした記事が多く、そんなsioさんだからこそ書けた物語なのではないかと感じました。
また、ストーリーの構成を考えるのが得意な方なのかな、という印象も受けました。
全体的に起承転結がしっかりされていて、読者が色々な感想を持ちやすいストーリーのように感じました。
🌳③ 作品への感想
職場の繁忙期に即戦力の臨時社員として入社したウラニワさん。仕事ぶりは申し分なく、周囲の評価も高く、正社員登用まで提案されたにも関わらず、「戻るべき場所があるので」と言って職場を去る。
その後、ウラニワさんから届いた1枚の暑中見舞いが主人公ニラヤマさんの人生を変えていくという劇的なストーリーです。
1枚の暑中見舞いが1人の女性の人生を変えたという、まさにドラマのようなお話ですが、sioさんが仰るように、「現実でもこんな素敵なことが本当にあるのかもしれない」と思わされるリアリティをも感じるお話です。
あの3月の日曜日、職場の「庭」を見てニラヤマさんが生き生きと目を輝かせる様子から、ウラニワさんは、この人は心の底から花や植物を愛する人だ、と感じ取ったんでしょうね。
その「庭」を舞台にした1シーンの描写が何とも素晴らしいのです。思わずうっとりしてしまうような見事な描写です。
1度、結婚と離婚を経験し、「妻という小さな器」に閉じ込められるのが嫌だと思っていたニラヤマさんがウラニワさんとの暮らしを決意したのは、ウラニワさんの人間性はもちろんのこと、庭に対する深い想いを共有できたが故なんでしょうね。
庭を、年齢も性別も関係なく受け入れてくれる1つの生命体と捉えていたからなのではないかと思います。
この「二度と結婚しないと決めていた」という決意も、ウラニワさんへの特別な深い想いを感じさせる伏線になっていることが分かります。
兄嫁さんが見送る時に言った言葉は僕も「(あなたらしく)生きなさい」という意味だと思いました。
この辺りも深い言葉のシーンですね。
梅雨の鬱々とした時期に出会い、晴れやかな初夏の頃に結ばれる、という季節の流れにも深い意味を感じました。
(作者の後書きより引用)
わたし自身、
庭しごとをするうちに、
庭を、ひとつの
穏やかな《生命体》のように感じ、
お世話をする一方で
わたしこそ、
包まれ、認めてもらっている
と、感じることがあり、
庭へ行かない日が続くと
元気が無くなるように
思う日が、ありました。
パートを終えて、
疲れた、帰り道、
恋人を思うように
庭の写真を見て、
バスに揺られながら、
性別も年齢からも
解き放たれた、
あの自由な場所に
飛んで行きたいなあ、
と、思う日暮れもあり、
そんな思いが、知らず
このオハナシに入り込んできた、ようです。
ぜひ多くの方に読んでいただきたい作品です。