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【読書感想文】胸襟を正し職務につこうと思わせてくれた⭐︎山崎豊子「不毛地帯」を読んだ⑧

ネタバレあるかもしれません🙏
引用はしてます🙏🙏


最後に、山崎豊子氏によるあとがきの引用。

石油取材は、シベリア抑留に勝るとも劣らぬ難しさで、中東の産油国の人脈、入札制度、実際に石油の井戸を掘る掘削技術上の問題を取材し、小説化するためにこれほど頭を抱え込んだことはなかった。(中略)
折しもオイルショックが起り、石油情勢が激変したため、再び一から構想を練り直し、昭和五十年にはサウジアラビア、クエート、イランを、さらに五十二年には三度、イランの油田地帯を取材した。

「不毛地帯(五)」山崎豊子 あとがきより

中東での現地取材ってすごい!
「中東の産油国の人脈」作品中では、
これまた、すごかった…
シャー(国王)の側近であって
大変クセのある人物だった、
待ち合わせ場所、指定からすごくて。
ゾクゾクした!

「入札制度」もまた、
お偉いさん達はこんな事やってるのか⁈
的な、異世界だった💦


作品を通して377名の方々への取材だそう。
中小規模高校だったら、
全校生徒の一人一人と、
じっくり話しこむようなものだ。

すごい!

更に、(主要)参考文献が掲載されていて
数えたら、44もあった!
もはや絶句。
小説というべきか…
フィクションとノンフィクションの間のジャンル、と言うのが正しいのではないか?

これほどの作家が
今後出てくる事は無い気がする。
大袈裟に言えば消される、ロシアじゃなくても、


話を戻して、取材や調査があったからこそ、
ここまでの感動作を生み出せたんだろうな、、
すごい!

(今回投稿が遅くなったのは、この本↑に出会い、読んでいたらとても面白く、少しでもご紹介できれば、と思ってたから。が、読むほどに深過ぎてまとめきれなかった。著者の瀬島氏は壹岐のモデルとされた人。近畿商事が伊藤忠商事モデルとは知っていたが、千代田自動車はいすゞ自動車モデルだった模様。別の機会に、乞うご期待!)

最後の最後に、
旧友の李との会話の一節を引用したい。

「だが私のように、十四歳で自ら志願し、幼年学校、陸士、陸大と国家に身を捧げるべく教育を受けた者は、一つの人生しかない、まして国家を敗戦に至らしめた責任の一端に繋がる私には、国のために終生、尽さねばならぬ義務がある」

「不毛地帯(五)」山崎豊子

教育関係者でなければ、
「14歳からなら、自然にそうなるか」
と流す箇所かもしれないが、
教育に携わる身として
「国家に身を捧げるべく教育を受けた者」
という表現が重くのしかかった。

軍事教育と学校教育は異なるとは、わかっているが、「教育」とは人の人生を変えうるものだ。

改めて、胸襟を正し職務につこうと、
思わせてくれた。



長かった読書感想文、これにて終了でございます❤️
最後まで読んで頂きありがとうございました❤️
ここまで読んでくださった皆様の幸せを
心よりお祈り申し上げます❤️❤️❤️

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