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ここが愛の最前線! ~土岐丘 しゅろ『推しの敵になってので』を読んで~

 突然ですが、皆さん推し活ってしてますか⁈ ライトノベル界隈だと自分or周囲の誰かしらは好きな作品或いはキャラのグッズ買い集めてる人ってそれなりにいらっしゃるイメージがある。X(旧Twitter)なんかを見てるとぬいぐるみとお出かけしたり可愛い写真がまわってきて癒されたりする。中にはぬいぐるみを自作する猛者なんて方もいらっしゃるとか。

 え、私? グッズ系はお財布事情&収納スペースの問題であまり触れてない感じですね。強いて言うなら最近は特定の歴史上の方にまつわる書籍をフィクション・ノンフィクション問わず漁ってたりするけど……流石にこれはニュアンスが違うか。その分、面白いな~って思った本は今みたいに発信していけたらと(全力の逸らし)!

 どうしていきなりこんな話をしたかというと今回紹介する作品が主人公のオンリーワンなだからです。あ、ここは推し活/劇で区切って下さい。でも内容としては推し/活劇でも違和感はないか。そしてタイトルもズバリ『推しの敵になったので』。いきなり矛盾してないかって? それは読んでからのお楽しみに。


あらすじ

 ほとんどの女性と1部の男性が授かるという異能・天稟ルクスがの発生からおよそ100年。社会は女性が圧倒的に優位に立っていた。そんな中、異能犯罪を取り締まる天翼の守護者エクスシアとなった傍陽そえひヒナタは憧れの正義の味方を目指して相棒である雨剣うつるぎルイと共に頑張っていく────

 これはある人間が前世で大好きだった漫画、『私の視た夢(通称わたゆめ)』のあらすじである。そしてどういう訳かその人間は『わたゆめ』を基にした世界で本編第1話の敵として登場する指宿いぶすきイブキとして前世の記憶と天稟を持ち2度目の生を満喫していた。それ即ち時には幼馴染の部下として悪の組織で活動したり、またある時にはヒナタの隣の家に住むお兄さんとして最前線で最推しヒナタちゃんを楽しむ! それがイブキの新たな推し活であった。

 ところがどっこい似た世界で人物もいるとはいえルイのヒナタに対する態度が時系列的に辻褄が合わなかったりと『わたゆめ』本編通りとはいかないようで?

詳細と注目ポイント

これは良き異能バトル!

 『推し敵』も一種の転生もの、しかし行先は中世ではなくゴリゴリに現代寄り。しかも結構近しい年代までは通常の歴史とは変わらないという。そんな中繰り広げられる異能バトル。派手な天稟の使い手も多く、カッコいいバトルも勿論魅力なのだが、個人的に注目したいのはどの天稟にも代償アンブラと呼ばれるデメリットのようなモノが設定されていることだ。

 例えばヒナタの天稟は自身の動きを加速させ、代償として食欲を満たさないといけない。こういった感じの代償が各キャラに設定されている。個人的には天稟と同時に代償を予測するのも密かな楽しみである。しかもただデメリットになるのではなく、キャラの個性の1つになっているのがまた素晴らしい。それにしてもイブキは良い空気吸ってると思う。

 2つも覚えるのがややこしいという方にも朗報だ。2巻では巻頭のキャラ紹介にて天稟と代償も記載されているぞ! しかも詳細不明なところはキッチリ伏せられているワクワク仕様だ。

これ漫画でよくあるやつ!

 『推し敵』は舞台となる『わたゆめ』が漫画原作ということもあって「これ漫画であるやつじゃん!」となりやすい。私はどちらかというとゲームより漫画の方が馴染みがある人間なのでそっち関係でのテンションの上がり方が半端じゃなかったです。

 異能者同士の戦いは勿論のこと、過去に起きた大事件、それぞれの行動が渦巻いた結果産み落とされたシュールな光景とか悪の幹部大集合とかその手があったか! と膝を打ちたくなる異能の応用etc……。いやホントにイブキじゃなくても興奮するってこんなの。

 地の文も基本的には軽めで読みやすいのだが、それを込みにしても彼のテンションの高さが伺える。おかしい、私には異世界転生の経験がないはずなのに矢鱈と共感できる! でもここぞという時にはカッコよく決めてくれるのでそちらにもお付き合いいただきたい。

それにしてもいい空気吸ってやがる……

 マジでイブキに関しては色々と言いたい。けど一言で纏めるとずっといい空気吸ってる男になるんだ。推しを推しまくってる姿も見ていてとっても微笑ましいのだ。ここってところで一線引いてるのも好感が持てる。それはそれとして幼馴染との関係性も良いよねってなっちゃうんだ。マジでなんなんだ。

 おっと失礼。それにしてもマジでこの作品、キャラ造形が良いんだよね。内面に切り込む所とかも凄い深々と突き刺してくる。最初は「?」ってなるとこも話が進むにつれてそういうことかと納得がいってしまう。これについてはもうこの手のジャンルの宿命のようなものなのかもしれない。けどそれが確実な意図ではなくて最終的な結果になってるのが好きだなと思ってる。

 ちょっと何言ってるか分からない方も多いかもしれないが、読めば分かってくると思います。

さいごに

 『推し敵』の紹介は以上となるがいかがだっただろうか。本紹介を書くのが久々だったせいかちょっとテンションがおかしかったかもしれない。実はこの作品はSNSで相互の方に教えていただいた作品なのだ。めっちゃ面白かったですありがとうございます。

 是非ともラノベだけじゃなくて少年マンガ風の異能バトルものの雰囲気が好きな方はご一読あれ。文体も相まってサクサクと、それでいて独自の面白さも持ち合わせた1作だ。やっぱり自分のやりたいことに全力で挑むことって素晴らしいことだと思うよ。

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