これもまた1つの愛⁈ ~望 公太『小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている』を読んで~
普段ライトノベルをメインに読書をしている方って漫画はどの程度読んでいるのだろうか? ふと頭に浮かんでしまった。私は漫画も時々読む。ちなみに、漫画の話をすると「お前漫画読むのか⁈」と驚かれたことがある。マジで私の事をなんだと思っているのだろうか。ラノベに比べるとミーハー気味だが。
今さっきもX(旧Twitter)で"打ち切り"がおすすめトレンド入りしていてかなり焦ってしまった。某誌には私が興味を持っている作品もいくつかあるので。結局何故打ち切りがトレンド入りしていたのかハッキリと把握することはできなかったが、それでも心臓に悪い。しかも深くは見なかったがその私が気になってた作品もトレンド入りの一端を担ってたっぽいのが余計に。
まあそんな事があったので、今回は『小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている』を紹介しようと思う。打ち切りという単語を見ればこの作品を思い出さざるを得ない。
あらすじ
月見里司は漫画家志望である。それも大人気の週刊誌『コメット』の担当が付き、デビューに向けて作品を作ってる段階の。そんな彼が所属する漫画部には特殊な好みを持つ後輩がいた。彼女こそ小鳥遊。コメットを嬉々として巻末から読む打ち切り漫画愛好家だったのだ!
今日も今日とて漫画部では新作のアイデアが練らられている傍らで、打ち切りを始めとした漫画業界のあれやこれやについてのトークが繰り広げられるのであった…………。
詳細と注目ポイント
ぶっ飛んでいて可愛い後輩小鳥さん
それではこれより打ち切り漫画を主題としたライトノベルの本紹介を始めていこう。こうして書いてみると何が何だか分からなくなってきた。
この作品を紹介するにあたって外せないのはヒロインでもある小鳥遊の存在であろう。余談になるが彼女の苗字は小鳥遊ではなく小鳥である。
あらすじにも書いた通り彼女は打ち切り漫画が大好きなのである。世に言う打ち切り漫画といえば雑誌の中でも評判が悪く、場合によってはインターネット上でオモチャにされる。現実でも人気少年誌の打ち切りが大きく話題になる事も珍しい話ではない。ラノベを始めとした読書関連の話題を中心とした私のTLにもこの手の話題がたまに流れてくるし。そういったネットで見るような話題を好きでいる人こそが小鳥さんなのだ。
ダメだ、こうやって書くと小鳥さんがヤベーお方のように見えてしまう。でも彼女はめっちゃ可愛くて魅力的なキャラである。序盤のコメットを楽しそうに読む姿は彼女の象徴といっても過言ではないし、彼女の愛する対象は具体的にはどこなのかを時には何気ない描写で、時には突っつかれながら明かされていく。一見すると衝撃が強いが、パーソナリティーに踏み込むと魅力的に感じてしまう。それが小鳥遊という少女なのかもしれない。
とても、あるあるです
世にも珍しい売り切り漫画ラノベだが、そのトークを読んでいても時々共感してしまう。もしかするとトークで触れられる範囲が広いからなのかもしれない。主戦場たる掲載雑誌内での順位レースを中心に、漫画業界全般のあれやこれやの話題まで繰り広げられる。時には私にとってより距離感が近いライトノベルにまで飛んでくる。
勿論、主題が主題なためこれOK出たんだと変な所で気になってしまうような踏み込んだ内容もかなりある。だが読む読まないの選択に関するスタイルや作品の事情の実例がかなり具体的で想像しやすいから実感が湧きやすい。何なら自分に当てはまってしまうことだってある。
私のように少し漫画を嗜んでいる部類の人間でも共感できる部分が多いし、ラノベ読みの視点からしてもちょっとした業界知識が増えると同時に、ライトノベルという身近な話題も巻き込んで親近感を増してくる。漫画とラノベの近さを感じると共に打ち切り漫画ラノベという矛盾の違和感も自然と消えてしまう。
書き手パートもイイゾ
この作品では読むことだけではなく描くことを通したトークもしばしば確認できる。新人漫画家・月見君の頑張る様子とアドバイスをする小鳥さんとのやりとりを語らずに紹介を追えることはできない。とはいっても当然ながら打ち切り漫画的な視点を絡めたものだがここまで突き抜けると彼女らしさ全開だ。でも新作は安定期を乗り越えられるかみたいな部分もあるかもしれないのである意味彼女の独壇場だったり⁈ などと考えてしまう。
おっと根幹こそは打ち切り漫画だけどどこか端々でほんのり甘酸っぱい部分もあったりと意外性のスパイスも忘れてはいけない。あるある話で乗っているからこそより一層印象深い。
さいごに
トークメインのあるあるものと聞くと個人的には漫画や動画媒体の方が連想されやすいこともあって、珍しさも持ちつつ読んだのだが、会話メインでテンポ感も良く所々でお楽しみ部分もあったりして楽しかった。また、私は正直な所打ち切り漫画メインで怖さ半分もあったけれど、良し悪しどちらもある内容だったため、明るい気持ちで最後まで読めたのも良かった。
どちらかというと時間を掛けてじっくり読んでいくタイプの私でもあっという間に読めてしまったので、内容も併せて気軽で面白い読書体験がしたいにオススメしていきたい。
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