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チームマネジメント未経験のPdMがマネジメントの「型」を学んで実践してみたら、めちゃくちゃ成果が出た

こんにちは、いまふく(@happy_imafuku)です。

プロダクトマネージャー(PdM)のバイブル本『プロダクトマネジメントのすべて』では、PdMの仕事は2種類あり、その内の一つが「プロダクトチームを率いること」とされています。

プロダクトマネージャーには2種類の仕事がある。
プロダクトを育てることと、ステークホルダーをまとめプロダクトチームを率いることである。

及川 卓也、小城 久美子、曽根原 春樹(2021)『プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで』翔泳社

私のPdM歴は1.5年ほどですが、1.3年はエンジニアとプロダクトの要求を詰めたり、優先順位を決めるなどしてシステム開発を進めていくのがメインの業務で、チームマネジメントについて考える機会はほぼなかったのですが、そのシステムがリリースされ運用が軌道に乗ってきたことで、ここ数ヶ月はオペレーションチームのマネジメントについて考える機会が増えました。

私の関わるオペレーションチームは諸々課題を抱えており、何か手を打たないといけない状態だったのですが、私はこれまでチームを率いる・マネジメントするという経験がなく、具体的に何をすればいいか分からないという状態でした。

そこで参考にしたのが、長村禎庸さん(株式会社EVeM)のベンチャー企業のマネジメントに関する本です。

マネジメントに経験もセンスは必要なく、「型」を身に着けて実行すればいいというのがコンセプトで、まさに自分が求めている内容でした。

今回は、私がこの本をもとにどのように「型」に沿ってチームマネジメントを進めてきたのかを紹介していきます。
マネジメント未経験の方が「自分にもできそう」と思ってもらうことをゴールにしています。

マネジメントの地図を理解する

マネジメントの「型」の根幹になるのが、以下の「マネジメントの地図」です。

出典:「センスや感覚に頼らずに「マネジメントの型」を学ぶメリット 人を動かし成果を出す「ピープルマネジメント」の技術」ログミーBiz

この地図は、長村さんがベンチャー企業やマネージャーへの調査・観察を元に作成されたそうですが、この地図を頭に入れておくことで、部分的ではなく全体像を見渡すことができるようになり、何か問題が起きた時にその原因が特定しやすくなり、効果的に施策を打つことができるようになります。

マネージャーの役割を理解する

まずは、マネージャーの役割を正しく認識するところから始まります。
この認識がずれていると、マネージャーに期待される成果を出すことが難しいからです。

マネージャーの役割は4つあります。(詳細は割愛します)

  1. 「経営」からオーダーされた成果を残す

    • 経営陣の求めていることを理解して、それをチームの目標に落とし込み、期待されている成果を残す

  2. 人的資本を維持・活用する

    • 人的資本をフル活用している状態を保つ

  3. 人を育てる

    • 新しいことを任せられる人財をすぐに用意できるようにしておく

  4. 会社の中でチームを機能させる

    • チーム間の連携や調整は現場主導で行う

上記の4つのいずれも重要な役割ですが、会社のフェーズによって比重が変わります。
具体的にはシード期は1が最重要になり、IPO直前であれば4が最重要になるといった感じです。

「トップダウン型のマネジメントが、ベンチャーに合わない理由 マネージャー経験者が、スタートアップに転職して直面する壁」

私の所属する会社のフェーズだと、特に1・2を重要視すべきと判断しました。

現状把握を行う

改善策を考えていくためには、まず現状を把握する必要があります。
ベンチャー企業を取り巻く環境の変化は激しいため、その環境下のマネージャーは素早く正しく現状把握を行うことが大切です。

現状把握のスピードを高めるためには、まずは概要をざっくりと把握した上で、自分なりの仮説をもって詳細を把握しにかかるというやり方が最適です。
具体的には以下の図の①から下に見ていきます。
もし逆に⑩から上に見ていった場合、情報量が多すぎて現状把握が一向に終わらないことになるので、絶対に避けましょう。

出典:長村禎庸@EVeM「【スライド約300枚】ベンチャーマネージャーのマニュアル」note

なお現状把握の際は、可能な限り一次情報を取りに行くことが重要です。
二次情報(他人から聞いた情報)では、示唆の質が低くなるため成果に繋がりにくく、メンバーの納得感も得にくくなるためです。

このような手法で現状把握を行った結果、チームには以下の課題があることが分かりました。

課題
■ チームの目標や方針など何を目指していくかが明確に定まっていないことで、不安な感情が高まり、業務に対して前向きに取り組めていない
■ 経営陣に対してチームの状況や取り組みについて適切な共有ができておらず、経営陣とチームで情報の非対称性が生まれている

そして、この2つの課題を解決していくために、マネジメントの地図でいうと「役割/目標/意義の再定義」、「方針/KPI/重点施策の策定」について取り組んでいきました。

【再掲】出典:「センスや感覚に頼らずに「マネジメントの型」を学ぶメリット 人を動かし成果を出す「ピープルマネジメント」の技術」ログミーBiz

チームの役割・目標を決める

会社にチームが存在している理由は、「役割」と「目標」があるためであり、まずはその2つを明確にすることが重要です。

チームの役割は「会社の目標・課題 × チームの現状」で決まります。

出典:長村禎庸@EVeM「才能が集まる会社、逃げる会社」note

会社の目標を経営陣と改めて確認した上で、最初に把握したチームの現状をもとに、「事業拡大に耐えうる運用組織体制を構築し、バリュープロポジションを確立することで、会社の営業利益向上に寄与する」ことを役割にしました。

次にその役割から目標を決めていきます。

目標はチーム/個人のちからを最大限引き出すために野心的である必要があり、具体的には手が届くギリギリのライン=「70%は達成方法のイメージがつくが、30%はイメージがつかない」程度がよいとされています。
達成イメージがつかないことでチームは創意工夫を試みるようになり、チームの能力が向上するためです。

この70%という数字について、SmartHRのCOO倉橋さんも同じようなことをおっしゃっています。

私もこの70%達成イメージを基準にして、安定的なオペレーションの構築と利益構造改善を目指し、具体的な事業利益の金額を置きました。

また目標の意義も定めました。
人は数値を追うために働いているわけではないため、目標数値と一緒に「それを達成した先に何があるか」を明確にして伝えることで、メンバーは高い目標に向き合うことができます。

具体的には以下3つの軸で意義を創出しました。

  • 社会軸

    • 自分たちの貢献対象(顧客やユーザー、社会など)にどう貢献するか

    • 例:xxな社会を実現する

  • 市場軸

    • 所属する市場において、自分たちがどういう存在になるのか

    • 例:xx市場でNo.1になる

  • 自社軸

    • 日々の業務を通じて自分たちがどういう存在になるのか

    • 例:xxができるチームになる

出典:長村禎庸@EVeM「目標設定マニュアル」note

方針・KPI・重点施策の策定

目標が決まったら、その達成に向けたアクションを考えていきますが、ベンチャーというものは人もお金も限られているため、やみくもにアクションを取るのではなく、成果が出るものに集中して実施していかなければなりません。

そのために「方針」を決めて、アクションの方向性を定めることが重要です。
決める上で重要なのは以下2点です。

  1. 「工数小×インパクト大」のものを優先する

  2. 「何をするかわかるが、どのようにするかは試行錯誤の余地がある」程度の抽象度で設定する

1は言わずもがなですが、2については程よい抽象度にすることで、方針に沿ってメンバーが自発的に考えて行動するようになります。

方針はあくまで方向性を定めたものなので必然的に定性的なものになりますが、その方針が達成しているかどうかを測るために定量的な指標(KPI)を方針ごとに1〜2つ設定します。
そしてそのKPIを達成するための重要アクションを3〜5つ考え、担当者を決めていきます。

これで成果の出るものに絞られた重要アクションを設定することができました。
ここまで考えたら、以下のような表に落とし込み、週1程度でアクションの進捗の確認を行います。

出典:長村禎庸@EVeM「成果に一番効く魔法の型「方針」(動画つき)」note

オペレーションチームでは、現在この表を作って毎週進捗を更新し、経営陣がいつでも見られるようにしています。

方針・KPI・アクションのシート

取り組みの結果

上記の方針・KPI・アクションのシートを作成して運用を開始したことで、原因に対する効果的なアプローチになり、根深いと思っていた課題が劇的に改善しました。

課題
■ チームの目標や方針など何を目指していくかが明確に定まっていないことで、不安な感情が高まり、業務に対して前向きに取り組めていない
■ 経営陣に対してチームの状況や取り組みについて適切な共有ができておらず、経営陣と現場で情報の非対称性が生まれている

取り組んだ結果
■ 何を目指すのかが明確になったことで、不安な感情が払拭されて業務に対して前向きに取り組むようになり、自分から考えて行動するメンバーが増えた
■ オペレーションチームがリソースを割いていることや起きていることを、経営陣に素早くインプットしてもらうことができるようになった

最後に

今回はマネジメントの地図でいう「方針/KPI/重点施策の策定の」までのプロセスとその結果をお伝えしました。

【再掲】出典:「センスや感覚に頼らずに「マネジメントの型」を学ぶメリット 人を動かし成果を出す「ピープルマネジメント」の技術」ログミーBiz

チームマネジメントをちゃんと始めて数ヶ月ということもあり、「体制構築」以降はまだガッツリ取り組めておらず、これから着手していく予定です。

チームマネジメント経験がなく、どうすればいいか悩んでいる方はぜひマネージャーの「型」をインプットして、実行に移していきましょう。

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