以前、岐阜の洲原神社に行ったとき、コノハナサクヤヒメ様が、冬はここに居るんですよ、と仰った。夏は白山にお住まいになり、冬になると、里に下りてくるそうだ。空気が透明すぎる。汚れが全く感じられないとしか言いようのない、本当に美しい場所だ。夏でもきりっとした雰囲気がある。神社の目の前にある川は、夏場でも水が澄んでいる。
ここでは、ニニギ様とコノハナサクヤヒメ様は夫婦で仲良く過ごしていらっしゃる。ほっこりする雰囲気がある。
毎年、12月に行われる祭りが凄い。垢離取祭という、霊峰白山大神神迎神事を行う。神官が冷たい冷たい川に入り身を清めるのだ。コノハナサクヤヒメ様はここが大層お気に入りだ。
じゃあ、私と一緒にいるコノハナサクヤヒメ様は誰だという無粋な質問が来そうだ(笑)どっちも両立するのだ。同時に、富士山にだって、あまたある浅間神社にだってコノハナサクヤヒメ様はいらっしゃる。安産、子育てのご利益を頂きたい方に、手厚くご加護を授けていらっしゃる。一度に沢山のことを同時に出来るのだ。今どきの言い方で言えばパラレルワールドだ。クローンを作っても遺伝子が同じなだけで、赤ちゃんから育てないといけないので、同じ人間にはならない。分身の術では一時的にしか成立しない。
「パラレルワールドしか勝たんのよ」
と姫神様たちが話しているのをみて、マンガみたいだなと思って吹き出しそうになった。
今回は宮崎の高千穂神社。車を自分で運転出来ない私にとっては、高千穂神社までのアクセスが悪すぎる。平日は働いているので、週末だけで、どうにかしたい私としては、どうしたものかと思っていた。丁度いい感じのツアーにキャンセルが出たということで、それに便乗して、高千穂神社に行くことになった。
まずは宮崎ブーゲンビリア空港に到着。青島神社に行く。昔は新婚旅行のメッカだったということだ。キラキラしたところなのかしらん?とか思っていた。
それどころじゃない。コノハナサクヤヒメ様の機嫌が悪い。青島神社にはコノハナサクヤヒメ様の息子の山幸彦様と、その妻の豊玉姫様が祀られている。ざっくばらんに言うと、コノハナサクヤヒメ様は、この嫁が嫌いらしい。天津神のニニギ様と国津神のコノハナサクヤヒメ様が結婚して、二つの国の融和が図られた。そのお子様と海の国のお姫様が結婚して、また国が広がったという感じだ。その海の国のお姫様が自分の後ろ盾が強いからと態度が悪かったらしい。
そんなギスギスした雰囲気の中、青島神社を回る。よくよく探したら、ちゃんとコノハナサクヤヒメ様が祀られていた。急に機嫌がなおる。
次に鵜戸神社に行く。初代天皇の神武天皇の父の墓があるとされている。吾平山上陵の伝説地とされている。鹿児島にも吾平山上陵がある。鹿児島のは、もの凄く広くて綺麗だ。ここ鵜戸神社のは、殆ど人が足を踏み入れないかんじの山の上に、ひっそりとある。分かれ道で、逆方向に道なき道を行くと波切神社がある。海沿いの洞窟の中にある神社だ。海の国の力を見せつけらたような複雑な気持ちだ。
鵜戸神社自体は不思議な造りになっている。洞窟の中に入ると夏でもヒヤッとする。コノハナサクヤヒメ様は山の神様なので、高原の爽やかな風の吹くようなところを好む。青島神社や鵜戸神社のように、南国の湿気の多い感じが嫌いらしい。しかも鵜戸神社にはコノハナサクヤヒメ様は祀られてない。
鵜戸神社から、高千穂に行くのも結構な距離があった。
夜は、高千穂神社で催される高千穂神楽を申し込んでいたので、マイ座布団を持って、夜の神社の神楽殿に行く。総勢200名ほどの人が集まる。予約をしておいた方がいい。参加費は1000円。良心的だ。正座しなれないので、皆、もぞもぞしながら座っている。4つの演目を1時間程度で演じるのを見る。飽きさせない工夫もあり、楽しめた。外国人観光客も多かった。季節的に夜風が涼しくて気持ち良かった。冬場は寒いかもしれない。高千穂神社からホテルまで、街灯もない暗い夜道をワイワイ言いながら歩くのも楽しい。
翌日、高千穂神社に朝早く行った。気持ち良かった。ここもニニギ様とコノハナサクヤヒメ様がご夫婦でいらっしゃるが、ラブラブではない。神楽殿の向かいのちょっとした広い場所があったので、そこに入ってみた。そこは何もなかったが、端の方に小さな祠があった。踏み込んで祠の前に行くと、ちょうど三本の木に囲まれて立つことになった。急に空気が変わり、別空間のようだった。三本の木の間に居ると、凄い空気感で、そこから一歩でも出ると現世に戻ってくるという感じの不思議な場所だった。
次に天岩戸神社に行った。東本宮はすがすがしい。次に西本宮に行って、遠くに見える天岩戸があった所を見る。そして天安河原宮へ行く。禍々しいから行かない方がいいと言う人もいたが、行かないというわけにもいかない。かなり覚悟して行ったが、結局は、地底人が「居た」場所だった。今は居ないそうだ。だいぶ浄化も進んでいて、そんな辛いというほどではなかったが、楽しい場所では無かった。
次に荒立神社。あめのうずめのみこと様が祀られて、芸能のご加護がある。堺雅人など芸能人が足繁く通っているそうだ。一歩境内に足を踏み入れると、胃腸が絞られるように痛む。
コノハナサクヤヒメ様の旦那のニニギ様が天から降りてくるとき、あめのうずめのみこと様もご一緒だった。だから、ニニギ様がコノハナサクヤヒメ様と結婚するのを良く思っていなくて、コノハナサクヤヒメ様がニニギ様と出会って、すぐ妊娠したので、「それは他の国つ神との子供なのでは?」と言ったのは、あめのうずめのみこと様だそうだ。実際に、コノハナサクヤヒメ様に「その子は本当に俺の子なのか?」というスーパーモラハラ発言をしたのはニニギ様だし、酷いのだけれども、入れ知恵したのがあめのうずめのみこと様だとすると話はややこしい。あめのうずめのみこと様はわりとパリピでイケてる一軍女子で、ニニギ様と結婚してもいいかなと思ってたのに、図書委員みたく真面目で地味なコノハナサクヤヒメ様と結婚して面白くなかったようだ。コノハナサクヤヒメ様も、あめのうずめのみこと様の派手な感じが嫌いだ。だから、あめのうずめのみこと様が祀ってある神社はお腹が痛くなる。ここは、殊の外、ひどい。顔が真っ青になるくらい、胃腸が引きつった。
次に、くしふる神社に行った。ここはニニギ様が最初に降り立ったところだそうだ。鹿児島の天孫降臨した霧島東神社は、この世のものと思えない壮大な雰囲気の場所だったので、くしふる神社が割と普通でちょっとがっかりした。本殿の近くに広い敷地があって、ここにUFOが着陸したんだなとは思ったけど、かなり狭かった。雰囲気は談山神社に似ていて、同じ機能を果たしていたようだ。
最後に幣立神宮。ここは、大事な場所で、とにかく、行けばいいけど、行くのが大変という場所だった。着いたとたん、大雨。境内の裏の山道を降りて、お水を頂いた。大雨の中、足場も悪くて大変だったが、行くべき場所だったので、行けて良かった。ニニギ様が天孫降臨して来た時、この辺りは水が無くて、一度、天に戻って道具を持ってきて、水を掘り出したという逸話がある。荒立神社からくしふる神社に行く途中に井戸があり、そこにも同じ逸話が残っている。普通、水が出た場所には空海さんの逸話が残っているものなのだが、ここには一切それが無い。
東京に帰ってきたら三笠宮百合子さまの訃報をニュースでやっていた。赤坂の御用邸で記帳を受けているということだった。
青山一丁目の駅から豊川稲荷の方に歩いていくと、急に沢山の警官がいる場所があり、そこから入って、記帳場に行った。鬱蒼と木が植わっていて新宿御苑に似た雰囲気だなと思った。私以外、記帳する人は居なかった。百合子さまの死を悼み住所と名前を書くだけのことだ。ニュースでやっているのに、誰も居ないことに衝撃を受けた。
しかし、目的はそこではない。赤坂御用邸のクリアリングだ。何重にも結界が張られていて全く、外からでは様子が分からない。姫神様たちも、「令和になってからは、ここには宝物はありません」と仰っていたので、そうなのだろう。実際に赤坂御用邸に足を踏み入れた感想としては、空っぽな感じがすることだ。さも、大事な物があるように沢山の結界を張っているが、中身は空っぽみたいだ。てっきり金塊とか置いてあるのかと思ったので、ちょっとがっかりした。