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【書籍記録】努力2.0

著者はプロゲーマーのときど。主にストリートファイターで活躍している。実績はこちら

  1. 2017年 世界的なゲーム大会で優勝

  2. 2018年 プロでの勝利スコア1位

  3. 2018年 アメリカの大会で優勝

  4. 2019年 世界大会で優勝

  5. 2019年 ドミニカの世界大会で優勝

と、コロナ前の成績はこのような感じ。
本書ではプロになってから挫折した経験を交えて、これまでの努力1.0から努力2.0にアップデートした経緯を書いている。

プロになってから挫折した理由は、簡単で強い行動をしていたから。ほとんど作業と化していた。ときど選手は誰よりも早く最善手を見つける事に長けていた。勝つためならどんな手でも使う姿勢だった。
 ときど選手の考える努力2.0は無理をしないこと。「こうすれば勝てる」「これが正解」というやり方はeスポーツにおいてもう存在しないと、ときど選手は本書で書いている。


データを少しでも多く

変化が激し過ぎて、計画はよくパァになる。なので頭では考えず、とにかくやってみる。失敗も成功も検証結果、判断材料のひとつでしかない。失敗するより試行しない方がマズい。
 そしてさらに、気付く感度を上げる事が重要。多くの人が見逃すことを1%でも多くする。大抵の上級者は、初心者の動きなど参考にしない。しかしときど選手は「この動き、良いかもな」と、立場にあぐらをかかずに吸収しようとする。実際それで役に立った事があるらしい。1%でも、他の人より気付きをより多く得る事で僅差で勝てる。
いかに気付くか。感度が高い程、生き馬の目を抜くeスポーツ業界を生き残れる。

実力があるのに大会や対面交流対戦会に出ないプレイヤーはもったいないとときど選手は語る。「失敗したくない」「恥をかきたくない」という完璧主義の先延ばし思考になってしまうプレイヤーも多いらしい。現実では計画が予想通りにいく事のほうが少ない。計画は常に狂い100%達成はまず不可能。そのプレイヤーが思い描く完璧な状態になる前に、不慮の事故で死ぬかもしれないし、大会というイベント事が規制などで無くなるかもしれない。世の中は常に予想外。現に本書が発売された2019年の1年後には新型コロナウイルスによるパンデミックで、人が集まるようなイベントができなくなったので、今とれる選択肢は、できるだけ早くとること。後悔しないように。
 ときど選手の勝利スコアが1位の理由は、出場数が多いからでもある。スコアは順位に応じて貰えるが、いくら強くても出場しなければスコアは0。ときど選手は他の誰よりも出場した。
数を絞って全勝しようとするより、数を増やしてそこそこ勝とうとするだけで良い。どうせどれだけ頑張っても全戦全勝パーフェクトレコードは不可能なのだから。勝利という財産より、場馴れという財産の方が大きい。

環境を選べ

めんどくさがりなときど選手は、自分の意思の力でどうにかしようとしない。自分を置く環境を変える。そうすることで意思は勝手についてくる。工夫すべきは自分ではなく周囲。そうすることで負荷なく努力できる。スマホ依存に苦しんでいるなら、スマホを止めようとするのではなく、スマホが無い無人島などに行くといったやり方だ。

自分より少しだけ・・・・レベルの高い環境に身を置く。
RPGのザコ敵をいくら倒しても、レベル上げの効率としては悪い。ボス敵はレベルが高過ぎるにしても、その中間の敵ぐらいなら倒せるだろう。頑張ればキツいけど倒せるぐらいの組織でまあまあな成績を定期的に残すのが成長の秘訣。位置としては中の上ぐらいだろうか。
ぬるま湯だと感じる場所で成長はない。

小さい頃、地元のゲーセンで上位になったときど選手は、別の地域の高レベルなゲーセンに行った。地元ではときど選手の他にも強いプレイヤーはいたが、別の地域のゲーセンには行かなかった。そこが分岐点になり、ときどはメキメキと上達。地元では頭ひとつ抜け、圧倒的トップに君臨した。その後は別の地域のゲーセンですら上位になり、もっとレベルの高いゲーセンに行くようになる。ついにはアメリカまで行くように。ただ、見誤ってレベルが高過ぎる環境を選んでしまうと自信喪失のもとになるので、しっかり見極めよう。

計画も正解も使い捨て

計画に沿ってコツコツ進めるのは、努力1.0のやり方。
物事は予想外になる方が普通と前述した。なので目的達成ができるなら、過程も計画もどうでもよい。
「もったいない」という思考はジリ貧を生む。
いくらその時点で価値があっても、計画も実績も使い捨て。高級ティッシュ。

長い目で見たアイデアも、すぐ無価値になってしまう。
1日ごとに計画や方針を白紙にする姿勢でやるのが良い。今日の正解は明日の間違いである可能性が常にある。
人類史でもそういう事例は度々ある。アスベストは発見当時、紙の素材として、使うことが正解とされていたが、後々人体に有害であることが判明。これまで生み出した財産に縛られて、ジリ貧になってしまうのは人間の自然な心理。

アウトプット

 身についているかどうかは、言語化できるかどうかである。「なぜそうなるのか」という問いの答えが「そうなるから」では言語化できていない。つまり身についていない。
「〜という仕組みでそうなっている」というような、具体的な説明ができるようにしよう。

無理をしない

心のエネルギーは節約する。
いくら情熱や愛があっても無限ではない。ゲームの他に取り組んでいる空手教室の先生は、10代の頃、激しい練習を何年も続けたことで無理がたたり、後遺症が出るほどのケガをした経験があるため、根性にものを言わせるような指導はしない。
「無理は絶対に続かない」
ときど選手もその先生の考えに影響を受け、無理をしないよう、日記をつけている。そうすることで客観的になれる。

全体的な感想

上手い人のほとんどは、何か目的があってやっているわけではなく、気づいたら上手くなって結果も出ていて、あれよあれよとプロゲーマーの誘いが来たということなのだろう。分かりやすいが話半分。

「1日って24時間じゃないですか。8時間ゲームして、8時間勉強して、8時間寝ればいいだけですよね。簡単ですよ」

ときど

格ゲーの大会で上位入賞した時のインタビューにおいて、真顔でそう答えていたという逸話がある。
素材が特別過ぎて、生き様は真似できない。才能に恵まれた人間は、どんなことをしても成長していくし、才能が無い人間は、どれだけ効果的な努力をしても伸び代はすぐ頭打ちする。

「勝つためならどんな手でも使う」
ときどの本質は変わっていない。努力のやり方をアップデートしたが、それも全ては勝利のため。梅原大吾を尊敬しているのも、過程に憧れているのではなく、勝利を重ねているから。

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