《書籍紹介》イン・ザ・プール
読書の秋でしょうか。
とは言っても雪が降っている地域もありますからもう冬ですね。
今回の記事では書籍紹介をしようと思います。
イン・ザ・プール
著:奥田英朗
単行本
文藝春秋刊
2002年5月 発行
あらすじ
「いらっしゃーい」
伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは甲高い声に迎えられる。
色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖……訪れる人々も変だが、治療する医者の方がもっと変。こいつは利口か、馬鹿か? 名医か、ヤブ医者か?
イン・ザ・プール
この話の主役は大森和雄というごくごく普通のサラリーマンだ。順調に出世し妻にも恵まれている40手前の男。
ただ子供はいないので、プライベートで外出するようなことはなかった。家でする趣味なども特にない。
和雄は子供の頃から挫折した経験がない。子供の頃から集団の中ではリーダー格だったし、仕事もバリバリできる人間で、人脈もあった。
そんな中、和雄の体に異変が起こったのだ。
内蔵が学級崩壊を起こしている─────
思い当たる節はない。しかし下痢が酷いので思い込みではないだろう。
帰宅中に下痢を漏らし、コンビニで替えのパンツを買いに行ったほどだ。
妻の尚美は呆れていた。
病院へ行ったが、内科の医者では原因が分からないということでセカンドオピニオンを検討。地下の神経科を勧められることに…。
勃ちっぱなし
田口哲也は勃起が治まらないことで悩んでいた。
陰茎が怒っている─────?
不倫をした後に他の男へ鞍替えした元妻の淫夢を見てから…というのが思い当たる節だが、それ以来淫靡なことを頭から離しても戻らなくなった。
内科に行くと陰茎強直症という名前は付いたが、症例が少ないので対策が難しいとお手上げ状態だった。
鎮痛剤を打っても効果なしとの事で、地下の神経科に回されたのであった…。
コンパニオン
24歳の安川広美はコンパニオンをしていた。
ちなみにコンパニオンとは、料亭や旅館、ホテルなどの宴会場で場を盛り上げるために接客を行う仕事。キャバクラ嬢との違いは、人材派遣会社と契約することで、要請に応じて派遣される点だ。
広美は先月から体調が悪かった。全身がだるく、夜眠れないのだ。呼吸もしづらく、胸が痛くなる時もあった。
思い当たる節はストーカーだった。
帰り道に視線を感じるのだ。振り返ってもそれらしき人は見当たらないが、前を向くとまた視線を感じる。
広美はコンパニオンをする以前はレースクィーンをしていた。
顔立ちと体型は抜群だったので、男たちは釘付けだった。
しかし最近感じる視線は向けられる感情の種類が違った。
その視線は家にいる時以外、ずっと感じる。昼夜問わずだ。
自分の思い込みを少し疑い、ストレスで肌に支障をきたす前に伊良部総合病院の神経科に向かった。
フレンズ
ひとりっ子の津田雄太は高校生であり、携帯依存症だった。
夕飯時にも構わず携帯を触る。親は呆れ、家庭にも亀裂が入った。
携帯を触っていないと、手が痙攣を起こす。
その姿を見て両親は雄太を伊良部総合病院に連れていくことを決意した。
いてもたっても
ルポライターの岩村義雄は、自分の異常さを自認し、図書館に来ていた。そして自分の行動や心理にピタリと当てはまるそれらしいレッテルを見つけた。
《強迫神経症》
バカバカしいと分かっていながら、頭に浮かぶ考えを払拭できない。そして酷い時には行動に移してしまう。もっと酷くなると、日常生活に支障をきたすほど、その行動に時間を使う。
気になるのはタバコの火だった。3ヶ月前からタバコの火を消したかが気になり始めたのだ。一度マンションの部屋に戻って目視をしたが、目を離して再度出かけようとするも、また疑いの霧が頭を覆い始める。
そしてマンション全焼という最悪の事態を想定してしまい、恐怖からまた部屋に戻って確認する。
そこから実生活へ影響するのは早く、そして大きかった。
飛行機に乗り損ねたのだ。
藁にもすがる思いで義雄は伊良部総合病院神経科のドアを叩いたのであった。
まくおのコメント
全部読んだ記憶がありません。
買ったのは7年前とかなのですが、多分イン・ザ・プールしか読んでいませんね。
少なくともイン・ザ・プールは面白かった!
皆さんも是非読んでみて下さい。