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2023年8月の記事一覧

遠藤周作②—死について

遠藤周作②—死について


はじめに

今回は、作家・遠藤周作が死をどのように捉えたかを考察します。

この世を生きている我々は、死に対して等しく無知な存在ではありますが、死について考えることとは、生について考えることと同意義ではないでしょうか。そう考えれば、死を考えるのに早すぎる年齢というのはありません。

今回は小説は取り上げず、『死について考える』というエッセイ本に依るところが多くありますが、この本はキリスト教のみな

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遠藤周作① —遠藤周作のキリストと悪魔—

遠藤周作① —遠藤周作のキリストと悪魔—


はじめに今回は私が中学生の頃から大好きで、ヘルマン・ヘッセとともに私の精神を支える柱である作家の遠藤周作についてです。彼の一冊の本について書こうとすると終わりが見えなくなりそうなので、テーマを定めて横断的に何冊かの本について書こうと思います。 
第1回目は、遠藤周作のキリスト教観の根底に関わる「キリスト」と「悪魔」の描き方について考えました。あくまで、広い意味を持つ「神」ではなく、人間として生き

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「もの派」とメディア・アート(『メディアの現在』を読んで)

「もの派」とメディア・アート(『メディアの現在』を読んで)

はじめに

現在私は美術大学生でちょうど夏休みに入ったところですが、前期は実技と毎週出さなくてはいけない学科のミニ・レポートに追われている間にあっという間に過ぎていきました。
その時に思ったことですが、自分の思考をギリギリ人に見せられるような文章に整えて例え納得いかなくても期限までに提出するというレポートの作業は、自分のその時々の思考を整理するのに案外役に立つのです。
レポートと書くという行為は明

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