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超一流アスリートもやっている「自分を騙す」方法

「あとは、自分を騙しながら走ってました

それは年末年始恒例の駅伝を見ていたときのこと。ゲスト解説者の鈴木優花さんが、かつて自分が同じ大会に出たときの経験を問われた時、そう答えた。

鈴木優花さんといえば、10月のMGCに勝利し、来年のパリ五輪のマラソン代表に選ばれた超一流アスリート。そんな人でも、苦しいときは自分を騙しながら走るのか、そんな親近感を抱いたとき、ふと思い出したのが先日のジョギング。

その時のぼくは2時間ランというものに挑戦していた。目標はどんなペースでもいいので、とにかく2時間、止まらずに走り続けること。

序盤、中盤と順調に走り抜け、この感じなら最後まで行けるかな、そう思った時のこと。突然、両足が重く感じられた。それまでが期待を超える状態だったので、急な変化に戸惑ったぼくは、意識が両足から離れなくなった

本当に最後まで走り切れるのだろうか。
無理して続けたら怪我に繋がらないだろうか。

しばらくは、そんな不安を抱えながら走り続けた。ただ、足の重みが引く気配はない。そして、集中力を欠いた結果、次第にフォームは乱れ、呼吸も乱れ気味に。これはいよいよギブアップか。そう思ったとき、ぼくの中で一つのひらめきがあった。それは、

意識を切り離そう。

このまま足のことだけ意識して、不安な感情に飲み込まれたら、あとはリタイアするだけだ。実際、足の重みは怪我という感じではない。長い距離を走ったことによる当然の疲れ。だから、足の重みは「それは、それとして」意識を切り離して、走り自体を楽しもう。それに、これだって一つの思考実験、うまくいったら儲け物。いかなかったら別を試せばいい

気持ちを切り替えて、敢えて景色を意識したり、敢えてこれまで走った距離の思いを馳せてみた。すると、不思議なことに、次第に足の重みが意識から薄れていった。きっと、重み自体が軽くなったわけではないだろう。でも、意識が「そこ」から移っただけで、感じ方が変わったのだ。

結果、ぼくは2時間を最後まで走り切ることができた。

「あとは、自分を騙しながら走ってました

鈴木選手のこの言葉を聞いた際、おこがましいけれど、ぼくの「意識を切り離す」とつながった。そして、この「自分を騙す」と「意識を切り離す」の共通点を考えてみたときに思い浮かんだ言葉が、

俯瞰する。

例えば、走る。走っていれば、苦しいときがある。例えば、仕事。働いていれば、うまくいかないときがある。例えば、人間関係。人と交われば、意見が衝突して、不快な思いをするときがある。

そして、その瞬間・瞬間の感情がある。もう嫌だ。諦めよう。私、もうダメかも。などなど。もちろん、この感情は本物だ。あなた自身が、そう感じたことは間違いない。だから、それはそれとして、否定しないで認めてあげる。

ただ、大切なのは、瞬間・瞬間の感情に飲み込まれないこと。短期的には「本物」の感情も、長期的にみたら、自分自身にプラスではない、なんてことはよくある話。短期は損気なんていう言葉があるくらいだ。

だから、そんなときこそ、俯瞰する。苦しい、辛い、もう止めよう、そう思っている自分がいるな、他人を眺めるかのように、自分の気持ちを受け止める。評価はしない。ただ観る、受け止める

そして、そこで切り替える。思い直して「未来の自分」のために「今の自分」ができることを考える。どんな小さなことだっていい。仮で決めて、仮でやってみる。

これができるようになると、パフォーマンスに格段の差が出てくるし、今の自分が未来の自分につながって、生きているという実感が生まれてくる。実際、ぼくだって2時間を走り切れたわけだし、これからも走り続けようという気持ちになっている。そして、もちろん、それは鈴木選手だって同じに違いない。

なんて書いていると、ちょっと来年が楽しみになってきた。それは、オリンピックでの鈴木選手の活躍だけではない。2024年を、ぼく自身がどんな躍動の年にできるのか、それが楽しみになってきた。

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