ミスターポテトヘッド
約3年前、出会った時は本当に素朴な青年であった。
見た目は...ミスターポテトヘッド(髭はなし)
牛乳瓶の底みたいな分厚い眼鏡をかけ
髪の毛や鼻毛の手入れしている感じはなく
色白で普段から運動をしていないのが伝わり
食も細く好きな食べ物は煮物と答え
女性には特に興味がなく彼女もいらない
と言っていたミスターポテトヘッド青年。
とりあえず突拍子もない質問でもして驚かせてやろうと
「バストサイズは何カップが理想なの?」
と、聞いたところ
「自分はなにぶん生身を触ったことも見たこともないので理想と言われましてもわかりません。」
と、クソ真面目な抑揚のないトーンで強烈なカウンターを喰らってしまった覚えがある。
このままじゃ”人”としてアカン!
当社の企業理念には、”人の成長を大切にする”とあるので、一念発起し
ミスターポテトヘッド青年の成長の軌跡を記す。
<眼鏡屋編>
「その牛乳瓶の底のような眼鏡はどこで買っているの?」聞いたところ
「小さい頃から町の眼鏡屋さんで2~3週間かけて、3万~4万で作ってもらっている」とのこと。
「ショッピングモールとかに入っている眼鏡屋だと、5,000円位で買えて会計後30分後位には受け取れるよ」
と言えば
「さすがにそれはウソですよ」と嘘つき呼ばわりされた。
「じゃあ行くぞ」と連れて行き、とても軽量でスタイリッシュな真紅のフレームの眼鏡を一緒に選び
「言っていたことは本当だったんですね」と大満足で即購入していた。
<スターバックス編>
「スターバックスって行ったことある?」と聞いたところ
「名前は知っていますが、行ったことはないですね。コーヒー屋として邪道なイメージがあります」
と言っているので理由を聞くと、学生の頃にコーヒー豆の量り売りのアルバイトをしていたそうでコーヒー
一筋で勝負していないお店は邪道の部類に入るんだと。
「じゃあ行くぞ」と連れて行き、とりあえずキャラメルフラペチーノを飲ませてみた。
感想が「こんなにも美味しいとは。そりゃ人が集まるわけだ」と目を丸くしていた。
<スーツ編>
「なんでいつもグレーのスーツしか着ていないの?」と聞いたところ
「家で猫を飼ってまして。毛が付くので目立たないグレーを選んでいます」とのこと。
猫の毛でビジネススーツを決めているのかと思い
「じゃあいくぞ」とスーツ屋へ連れて行って、紺のスリーピースのスーツを買ってあげた。
「おぉ・・・」と本人も満足したようで、連日着てしまうかわいいミスターポテトヘッド。
もちろん猫の毛は付いている。
<シャンプー台編>
「髪の毛はどこで切ってるの?」と聞いたところ
「小さい頃から父に連れられて行っていた床屋でお任せで切ってます」とのこと。
「床屋しか行ったことないなら美容院にも行ってみなよ」と促し美容院へ突っ込ませてみた。
感想を聞くと開口一番
「髪を洗う時のシャンプー台が前じゃないんですよ」と
最初はわけのわからないことを言っているなと思っていたら
どうやら椅子が後ろに倒れ仰向けで髪を洗われるのが初体験だったみたいで、それが衝撃だったらしい。
そして2つめの感想として
「女性が多くいるので良い匂いがしました」とのこと。
<角刈り編>
美容院に通ったことで少し髪型を気にするようになったミスターポテトヘッド。
最近の若い人にはサイドを”刈上げ”る髪型が流行っているという話題を聞き
美容院に行ってなんと”角刈り”とオーダー間違い。
さすがに美容院の担当者に「角刈りですか?」と何度も聞かれたそうで
それとなくまとまった髪型で返却される。
危うくミスターポテト角刈りヘッドにされるところであった。
<ペン習字編>
とにかく字が汚いミスターポテトヘッド。
「字汚ねぇな」にはいつもお決まりのつまらない返事だ。
「字と恥はかきたくないです・・・」
「そもそも、字が汚い時点で恥なんだよ。今からでも遅くないからペン習字でもしたら?」
と伝えたところ、通信教育のペン習字を受講した。
聞くと通信教育の課題の量が半端なく期日も厳しかった。
ひらがな50音から始まり、同じ字を何度も何度もコツコツ書いて、字や文章のバランスを磨いていく。
今では「字汚ねぇな」と思うことはなく、全体のバランスも良くなっている。
<趣味編>
「休みの日何してるの?趣味とかは?」と聞いたところ、
「特に何しているわけでもないですし、趣味という趣味はありませんがゴルフには少し興味があります」
とのこと。
「興味があるならまずは始めてみなよ」と促しゴルフを始めた。
時が経ち、「ゴルフどう?」と聞くと、練習場ばかり行って肝心のコースには出てないとのこと。
練習場に行くことがゴルフじゃねぇんだぞ、と思い話しの流れから一緒にコースに行くことに。
めちゃくちゃゴルフが上手そうな服装でコースに登場し、腕前はめちゃくちゃ下手だった。
でも少しずつ上達し今でも趣味として続けている。
誘われても行かないけどね。
<肉体改造編>
「腕立て伏せってどれくらいできるの?」と聞いてみたら、ブツブツ言っていたのでとりあえずやらせてみた。
生まれたての小鹿のように腕をプルプルさせて顔を真っ赤にして、2回しかできなかった。
そして、なぜかマラソンをしたかのような物凄い息切れをおこしている。
「とりあえず10回は出来るように毎朝起きたらすぐに腕立て伏せをした方がいいぞ」
と伝えたところ、正しいフォームでほぼ毎日やることが習慣となり
3カ月位でより負荷のかかるプッシュアップバーを使用し、18回できるようになった。
2回→18回 9倍に成長した。
肩幅も大きくなった気がしたので、服のサイズを聞いたら以前より少しきつくなったとのこと。
<肉体改造編2>
腕立て伏せができるようになり、調子に乗っていたミスターポテトヘッド。
今度は身体の柔軟性を確認したところ、あぐらをかけないほど身体が硬い。
「筋トレ後に肩甲骨と股関節のストレッチも追加ね」と伝えたところ
こちらも日々の習慣として取り入れた。
生まれたての小鹿のようにプルプルしながら開脚や股割りをし、90度位しか開かなかった股関節が115度位に開いてきた。
180度開脚をしているところは想像できないが、継続していればもしかしたらできるのかもしれない。
<人造人間編>
「レーシックをやってみようと思っています」と突然言い出したミスターポテトヘッド。
「えっ?なんで?どうしたの?」と聞くと
「常に眼鏡をかけているのも不便だし、今後の人生を考えたら高額でもやってみる価値はあるかなと」
と既に病院からのレーシックのパンフレットを握りしめていた。
手術方法を聞くと
①目の角膜をレーザーで切り取って焦点を合わせる方法
②そもそも眼球にレンズを入れる方法
があり、なんと②のブチ込み方法を考えているのだとか。
「もしレンズが合わなくなったら取り替えることもできるんですよ」
と平然と言ってのける改造版ミスターポテトヘッド。
<活動期突入編>
出会った時は、「女性に興味がない」と言っていたミスターポテトヘッド。
最近では、同世代の女性2人と2対1でホルモン焼きを食べに行くほどになり
さらには自分に合うような女性を紹介してもらうまでの段取りまでしている。
出会った頃だったら、こっちが「さすがにそれはウソですよ」と言いたい。
バージョンアップを繰り返してきたミスターポテトヘッドは
出会った頃とは見違えるように人が変わってしまった。
この”変化”は、揺るぎない「成長」だろう。
そしてこの「成長」に感化されている自分もいる。
成長に繋がる変化を受け入れるメンタルを作り、日々努力をし続けなければならない。
年齢制限はない。
最後に、、、
「僕の理想のバストカップが見つかりました」
との報告を待っている。