2023年2月の読書まとめ
読書数
読書数トータル---18冊
紙の本---11冊
Audible---6冊
Kindle---1冊
ひとこと
町田そのこさんの『宙ごはん』、石井光太さんの『誰が国語力を殺すのか』の2冊が特に心に残りました。
特に石井光太さんが書くようなノンフィクションは、今後も積極的に読むようにしたいなと思っています。
また、村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』がAudibleで配信されていたので再読(聴)しました。
時間をおいて再読すると違ったものが見えてくるなと感じます。大人になるのも悪くない。
今月読んで良かった本8冊の感想(読み終えた順)
連鎖 黒川博行
夫の捜索願を出しに来た女性の対応をしたことから、暴犯係のコンビ2人がとある大きな事件を追うことになって…というストーリー。
表紙デザインから、もっとシリアスなものを想像していましたが、関西弁で展開される会話が多いせいか、思ったよりも軽いタッチで描かれていました。
グルメで映画マニアの勤ちゃんとジロさんのコンビは、いつも美味しそうなご飯を食べていて、事件捜査の合間に麻雀もしたりして、なんだかちょっと楽しそうです。
面白かったですが、それだけじゃなくてしっかり深掘りされたテーマがあるともっと良かったかなと思います。
家康の海 植松三十里
とても面白かったです。
晩年の徳川家康の、外交・宗教政策における試行錯誤を題材にした物語。
特に家康に深く関わったとされる、イギリス人ウィリアム・アダムスと、朝鮮出身のおたあジュリア、2人の人生をうまく絡めて展開されていきます。
タイトルから、男のロマン的な事がテーマなのかな、と予想していたのですが、そういう話ではなかったですね。
もちろん海外への興味や好奇心も垣間見えはしますが、むしろ家康の共感力の高さと人心掌握術が随所で発揮されて、さすが新しい時代を創った人の考え方だなと、読者に感じさせるストーリーでした。
宙ごはん 町田そのこ
とても良かったです!
最初は、家族の話かなあと思いましたが、家族に限らず色々な人との『料理が繋いだ縁』を描いた物語。
前半は主人公である宙は子どもであるはずなのに、あまりにも精神年齢が高く、いやそんなわけないでしょ…と感じる部分も多々ありましたが、宙が成長していき、たくさんの人と出会って別れも経験し、色々な出来事に悩んで…といった様子を見守っていくうちに、読者としては応援したい気持ちになってきます。
作家さんの登場人物への愛を感じる一冊。
是非、続編かスピンオフを読みたいなと思いました。
カバー裏に特別掌編あり。
帆立の詫び状 てんやわんや編 新川帆立
新川帆立さんのエッセイ。
今のところ刊行されている著作は全部読んでいる(はず)のですが、小説とはまた違った一面が垣間見えて、とても面白かったです!
特にバッグへの偏愛ぶりとか、可愛すぎました。
自分の好みを明かすたびに『※個人の感想です』的な配慮を表明しなくてはならないのが大変そうですが、この方は割とナチュラルにやっている感じがあり、IQだけでなくEQも高そうだな〜なんて思いました。
小説が出来た裏話などもあってお得感がある一冊。
てんやわんや編、とサブタイトルが付いているから続編があるということかな。楽しみです。
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド 上・下 村上春樹
大昔に読んだことのある作品ですが、Audibleで大森南朋さんが朗読していると知って再読(聴)。
プロのナレーターさんと比べてしまうとクリアではなく、ややボソボソした喋り方ではあるのですが、聞き慣れてくるとなかなか良かったです。
というのも、大森さんは私の中でワタナベノボル的な雰囲気の俳優さんなので、なんだかしっくりきました(この作品の主人公には名前がないですが、他の村上作品同様、勝手にワタナベノボルと認識。安西水丸さんの本名らしいですね)。
さて内容ですが、やっぱり面白かったです。
昔読んだ時と随分印象が違うな、と感じました。
以前は『世界の終わり』と『ハードボイルド〜』の主人公が全然別の人に感じていて、後半繋がってきたと思った記憶があるのですが、今回は最初から同じ人だと認識しました。
結末を知っているからということもあったかも。
以前は終わり方にショックを受けたけれど、今回はスッキリしないながらも希望を見出せることができました。
他方で、大人になって読むと、主人公がやけにモテることに違和感がありましたね。
そして出会う女性がみんなパワフルで素敵。
村上春樹さんの来月発売の新作も楽しみです。
誰が国語力を殺すのか 石井光太
石井光太さんの著作を読むと、自分の視野がいかに狭く、自分がいかに無知であるかを思い知らされます。
この本は日本の子どもたちの国語力についてのルポルタージュですが、結局は格差がテーマの根底にあり、いわゆる『底辺』環境に置かれている子どもたちが、国語力(=言葉)を失っている現状が記されています。
その子どもたちを救うために取り組みと、最先端の国語の授業を行なっている私立の学校の取り組みが紹介されていますが、レベルは違えどそのアプローチ方法や方向性はほぼ同じという事に驚かされました。読書の大切さも再認識しました。
嘘つきジェンガ 辻村深月
詐欺にまつわる中篇が3篇収められています。
欲望や虚栄心などのちょっとした気持ちから出た嘘から、取り返しのつかないところまで転がり落ちていく様子が描かれていて、面白かったです。
詐欺を働く側、詐欺の被害に遭った側、どちらの立場の気持ちも、わかるような?わかってはいけないような?そんな気がしました。
読み終えてみてタイトルのジェンガという表現がぴったりだなと思いました。
自分を保ち続けるために、倒れるまで嘘を積み重ね続ける…そんなイメージですよね。
ついに崩れてしまったその時、大切なものが見えてくるのだと感じました。
今月読んだ本一覧
名探偵のままでいて 小西マサテル
心眼 相場英雄
連鎖 黒川博行
プロだけが知っている小説の書き方 森沢明夫
タスキメシ五輪 額賀澪
令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法 新川帆立
家康の海 植松三十里
われら闇より天を見る クリス・ウィタカー
大正浪漫 NATSUMI
宙ごはん 町田そのこ
数学の女王 伏尾美紀
帆立の詫び状てんやわんや編 新川帆立
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上) 村上春樹
誰が国語力を殺すのか 石井光太
未来に先回りする思考法 佐藤航陽
嘘つきジェンガ 辻村深月
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(下) 村上春樹
あなたはここにいなくとも 町田そのこ
今読んでいる本
幻告 五十嵐律人
覇王の轍 相場英雄
読む力最新スキル大全 佐々木俊尚
15歳のテロリスト 松村涼哉
ウクライナから来た少女 ズラータ、16歳の日記 ズラータ・イヴァシコワ
来月に向けて
2月中に全部読んでしまおうと思っていた本屋大賞ノミネート作品、2月は1冊しか読めなかったので、3月は残り2冊、読み切りたいです。
寺地はるなさんの作品が3冊ほど積読本になっているので、3月は『寺地はるな月間』となりそうです。初読み作家さんなので楽しみ。
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