精神疾患の患者さんが入院した日
精神疾患の患者さんの入院
私は外科病棟で働いている。
その日私は、ある患者さん(Aさん60代女性)の入院を担当することになった。
Aさんは手術目的の入院。父親と来ていた。
統合失調症という精神疾患を持っている。
最初の挨拶の時、表情が硬い。
でも、ゆっくりとわかりやすいことばで入院や手術の説明をすると、ゆっくりだがことばが返ってくる。
このペースでいこう。
説明中、Aさんのメモがみえた。
入院に必要なもののチェックリストだ。
広告の裏に自分でチェックリストを作って、チェックしている。
こうやって生活の工夫をしているのかな。
高齢の両親と3人暮らし
Aさんは20代の頃から統合失調症を患い、現在は内服薬で治療して通院を続けている。
80代の高齢両親と3人暮らし。
父親がキーパーソン。
母親は要介護3の認知症で、入院日はデイサービスの利用日であった。
きょうだいは既婚し県内在住。
なかなかの家族構成だ。
父親が元気に動けているから、この家族はなんとか回っている。
見えないだけで、こんな感じの家族は日本中にたくさんいるんだろう。
普段の様子
Aさんに普段の自宅での様子を聞いた。
Aさんが家事全般を行い、父親が母親の介護をする。
母親はAさんの言うことを聞かないから、介護をしようにもできない。
デイサービス利用調整
私が働く病院では、手術中はキーパーソンの付き添いをお願いしている。
Aさんから、こんな質問があった。
「母親は一緒に連れてきていいですか?家で1人にしておけないので」
Aさんは個室なので、認知症の母親を連れてくるのはできないことはないが・・・みんなしんどくなるやつ。
私はAさんに「ケアマネジャーさんに手術当日の母親のデイサービス利用の調整をお願いしてください」と伝える。
Aさんはすぐにケアマネジャーさんに電話し、事情を説明して、手術当日、母親がデイサービスを利用できる段取りをしてくれた。
一安心だ。
父親のことば
Aさんの父親がこんなことばを言った。
「いつまでも世話がかかるんだよな」
Aさんが20代から統合失調症を患って、何十年もAさんと一緒に乗り越えてきた父親。
何十年分のことばの重みを感じた。
身近な父親だからこそ言えることば。
父親の生きる力にもなっているのだろう。そう感じた。
手術当日
手術当日、父親は母親をデイサービスへ送り出したあと、病棟に来た。
デイサービスを利用できてよかった。
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