マガジンのカバー画像

シバの女王

11
短編連作小説『トーマス・ニペルナーティ』の最終話(第7話)。冬が間近にせまり、ニペルナーティの風来坊生活も終盤に近づきます。 7月25日(火)スタート、毎週火、金に更新します。全…
運営しているクリエイター

#小説

[エストニアの小説] 第7話 #10 幕切れ(結婚とは)(全10回・火金更新)

 「そうなの、いかにもあの人らしいわね」 女性がため息をついた。「あの人はいつだって森や…

1

[エストニアの小説] 第7話 #9 白い帽子の女(全10回・火金更新)

 「いや、出ていかない」 ニペルナーティがきっぱりと言った。「明日ではない、いずれにして…

4

[エストニアの小説] 第7話 #7 ヤーノス・ローグの脅し(全10回・火金更新)

 日曜日の朝、ヤーノス・ローグがやってきて、老漁師の小屋の前で足をとめた。「おーい、シー…

1

[エストニアの小説] 第7話 #6 ヨストーセの森(全10回・火金更新)

 「きみは夢見る乙女だ、空想家だ」とニペルナーティが、がっかりしたように言った。  「あ…

1

[エストニアの小説] 第7話 #5 カテリーナ叔母さんとマレットの真珠話(全10回・火金…

 「だけどマレットはこう言う。あー、この自慢屋のクマの子は。あたしはあんたと船に乗ったり…

1

[エストニアの小説] 第7話 #4 お伽話(全10回・火金更新)

 「きみはいい子だ」 そうニペルナーティが嬉しそうに言った。「だけどわたしがきみのところ…

3

[エストニアの小説] 第7話 #3 冬の到来:船を待つ船乗り(全10回・火金更新)

 ヤーノスが出ていくと、ニペルナーティが楽しそうに言った。「うぬぼれ屋のヤーノス・ローグ、わたしはあいつが嫌いだ。わたしがペイプスから来たなどと誰から聞いたのやら、漁の網を引くって? ペイプスなど行ったことがないし、漁師の網がどんなものかさえ知らない。わたしは船乗りだ。船からの呼び出しを待ってるんだ。すぐにわたしは遠い外国へと旅だつ。そうすれば放浪も終わる。だけどそれまで、わたしはシルバステで丸太を積む仕事をするつもりだ。わたしは住む場所がない。揺れる荷船で寝るのは嫌なことだ

[エストニアの小説] シバの女王 もくじ

#1  居酒屋 #2  ヤーノス・ローグの彼女 #3  冬の到来(船を待つ船乗り) #4  お伽話 #5  カテ…

4

[エストニアの小説] 第7話 #1 居酒屋(全10回・火金更新)

 雨の降る冷たい天気がここ数週間つづいていた。夜には霜がおり、柔らかな雪が降ってきた。し…

4