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短歌の会 覇王樹|短歌会
2024年6月30日 08:20
佐田公子選コンゴにて採掘されし鉱石に含まれていた人間の業藤田直樹ストリートビューに生家を訪えば更地になりてフェンスに囲まる大野雅子大谷を見てのち国会シュワシュワと炭酸水の泡の消えゆく奥井満由美ヒロシマに生まれ平和の申し子の総理を歌おう何と歌おう永田賢之助知らぬ間に武器売る国の民となる令和六年三月重し田村ふみ子老いぬれど色濃き唇の客引きに諸行無常の響を聞きたり石谷流花お昼
2024年7月15日 17:32
青山良子選命より国が大事と言ふ原理ひまはりの花横向きに咲く臼井良夫労られかばわれながら晩年の生きる日常わがものならず児玉南海子もう一度若葉になれるものならばさやけきそよぎつくれるものを北岡礼子花の色白へと褪せゆくバンマツリ生あるものの道筋として小笠原朝子リビングの照明LEDに変えてより寿命のかけっこ私と灯り奥井満由美全世界は腰で出来てゐるといふ思索に陥るぎつくり腰の夜佐田公
2024年8月10日 20:51
井手彩朕子選遠雷とわれの鼓動が響きあう記憶の底のひとつを揺らし児玉南海子それぞれの今日に向かえる戦士らを改札ギュッと集めて放つ三上眞知子わが背丈越えて繁れるプチトマトどうにもかうにも反抗期めく岩本ちずるぽっとんとポストに落とし帰り道助詞の間違い一つに気づく藤峰タケ子今ならば彼の日の夫の呟きにもっと寄り添い共に泣けたに田中昭子何気なくかけた言葉に「わかってる!」矢が放たれる娘
2024年3月26日 14:28
成田ヱツ子選 図書室で探しておりました 優しい肩だと言われる時を(森崎理加) この年の平安祈れる元日に揺さぶり揺らす生命体地球(山口美加代) 母の齢共に越えたる姉と吾二人ぼっちになってしまった(児玉南海子) 胃も腸もあるじのわれと同い年粥をすすればうべなひてをり(高田香澄) 熱熱の豚汁鍋を自転車で友持ちくるる冷えしるきタ(田中昭子)あの日から何万回も伸ばす手に触れる手は無く空掴
2023年5月14日 09:39
渡辺 茂子 選ひとひらの雲のゆくえに我が心預けておりぬ梅の香のなか奥井 満由美彩の絹莢二莢さみどりの口に弾けてああ春憐毛呂 幸ゆっくりと桜の下を歩きたり待っているよと蕾にエール浦山 増二尾根からの水を含みし雪片が時間差つけて春を呼び込む藤田 直樹早春の梅のさ枝に蕾着く音符のごとく春を奏でる伊関 正太郎
2023年5月10日 23:16
橋本 俊明 選AIの機能搭載したようなピカピカオデコの美誠ちゃんが好き高橋美香子光さす天窓のある台所 菜を刻む音 母の 後姿高田 好パソコンのゲームにはパッパと反応す異次元めける孫の指先成田 ヱツ子年々に義理を欠くことの増しゆくと時世に合はす戸閉りもする渡辺 千歳道ならぬ道と知りつつ知ればこそむべわが園にかをる柏木石谷 流花寒き朝枝に刺したるみかん喰む鵯のせはしき陽
2023年5月13日 22:22
水谷 和枝 選友の弾くギターに合わせ歌いたり心を開き空に向かいて藤田 直樹蕭々として走りゆく雪原の風は帰りの道を知らない臼井 良夫カルテにて誕生日と知る看護師の祝ひの言葉にこころはなやぐ斎藤 叡子寒卵わりて小鉢にうつし見る囲いの中で終えし鶏才藤 榮子子にはこの親には親の思いあり飛行機雲の続く初空高橋 美香子原点を探すがごとくゆっくりと私はコーヒーいつもブラック田中
2023年5月13日 22:15
臼井 良夫 選わが影を見ながら歩く夕刻に存在の無き悲しみを知る藤田 直樹道の上より見ればわが家の瓦の屋根が輝り返しをり川口 六朗暮れなずむ稜線続く房総のローマと同じ色の夕焼け高橋 美香子どの人も眼は美しと思ひつつマスクの顔に対きて物言ふ広瀬 美智子放浪の人もやうやく老いづきて残るいのちをわが傍におく高田 香澄天空の薄き空気を思いつつまぶたに描くマチュピチュ遺跡建部
2023年5月13日 22:07
広瀬 美智子 選お墓には行けないけれどこの庭のさまざまな菊をすべてあなたに高田 香澄今年もまた着たら捨てよう繰り返し黒きセーターはクッションになる篠原 和子天空よりぶら下がるごと動かざるブランコに降る落ち葉しきりに山北 悦子おふくろと呼ばれる友はゆっくりとふり向く時におふくろの顔児玉 南海子運休の内陸線の駅舎あり玩具箱からこぼれたように永田 賢之助スメタナの祖国
2023年5月13日 21:58
高貝 次郎 選今日の君取り分け話が合うようで崩したる脚組みかえしたり財前 順士湯にひたるあなたの背は若いねと言葉に出して言へばよかつた高田 香澄十四号台風明けの庭に立ち「木守柿」とふ言葉にあそぶ井手 彩朕子尖塔のクルスは秋の光受け世のなべてもを清めむとする佐田 公子姉からの電話も消えて十五年空の青さを今日も見上げる臼井 良夫地蔵堂に群がる蟻の動きとはカオスに似たる秩