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短歌の会 覇王樹|短歌会
2023年8月22日 12:24
奴隷にはなりたくないと思ひつつ長く追ひ来ぬこの韻律を臼井 良夫孤独感ふかめて過ぎし四年間こんな時代に生きてしまった児玉 南海子校正に使へと君の買ひて来し鉛筆をもて挽歌をつづる高田 香澄流し目でキリンは首をしゅっとして見物人を見物してる髙間 照子土産箱の陶人形を開け見れば手の跡、ぬくみ、ほの明かる頬橋本 俊明アナベルとふ白きあぢさゐ咲かしめて語らずもよし一つの矜恃渡辺
2023年7月22日 10:16
海底に揺らぐ光の重さから今日のあなたの機嫌を測る森崎 理加十一時二十分頃窓越しに寄港の飛機の通過待ちゐる毛呂 幸闇に光り闇に消えたる蛍火よかなしみは不意に胸をつきくる渡辺 茂子花よはな花は心のビタミンぞ研ぎ汁のませ朽ち花を摘む青山 良子てのひらに怪我して気づく亡き夫は二十年間片手洗顔高田 香澄わびしさを秘めて強がり言ってます お互い解る優しさごっこ高田 好月に近
2023年6月27日 22:43
生きてあれば負うかなしみや花あふるるこの街並は輝きたれど渡辺 茂子要人の服にはポケット多すぎて私欲の財を詰め込みおらむ青山 良子便利なる「ルンバ」なれども吸ひ取りしゴミの始末は私がします岩本 ちずる顔知らぬ父のことなど思ひつつ今年の花の咲く下に立つ臼井 良夫君の瞳に涙が浮かぶものだから、ぼくは無敵の少年になる鎌田 国寿連れ立つて通院した日がなつかしいさよならあなたのお
2023年5月13日 22:39
ささやかな違反ひとつで返します心で誓いハンドル握る永田 賢之助 暗闇の祠の奥でほほえんで語り合いたし病めるバッカス 宮本 照男吾よりも勉強が好きだつた弟よ微分積分教はりしかな渡辺 茂子 ふるさとのあおき山河よ老いぬれば帰る日叶わず夢に顕わる青山 良子 新宿に反戦デモのありし頃寺山修司は健在だつた臼井 良夫 淋しさは次の淋しさ呼ぶように通院帰りと友が立ち寄る児玉 南
2023年5月14日 09:26
恒例の第九聴きつつこの年もとどこおりなく早終えんとす財前 順士追ひ焚きのボタンを押した熱い湯にあなたのゐない時空を生きる高田 香澄他の人の役に立つとは生くるための杖を手にいれ歩むに似たり高田 好夏豪雨あり洗はれて古滝の恥しきまで白き岩組み橋本 俊明夕日浴ぶる母と児の背ひっそりと黄昏時の影となりたり松下 睦子夕さりてまた降りだしぬしらじらと雪はこの世の讃たらしめよ渡
2023年5月14日 09:17
この世には分からぬことの三つ有る寿命と心・生存理由木下 順造行く舟の航跡の波の打ち寄せて秋のひとひに心あふるる清水 素子ぽかぽかと足先温し細胞が両手を挙げて万歳をする高田 好車椅子狭い売店の中に入れ夫は森永キャラメルを買う玉尾 サツ子日毎増すコロナ罹患を告げしのち今月の死者数ことなげに言う永田 賢之助ウクライナに干支のあること知りたる日冬陽に重き山茶花の紅橋本 俊明
2023年5月14日 09:09
現実は現実として老いの身を単独で飛ぶ風をとらへて臼井 良夫「好きだったの」写真の君はその通り、彼に寄り添い夢を見ている鎌田 国寿わたくしは歩き回る木生きるため枝を張らない自我なんてない高田 好何気ない言葉の棘が抜け切れぬ 外は大空翔んでみようか高橋 美香子怠り来し墓参コロナの言ひ訳の子供じみゐて帰路の寂しさ橋本 俊明褄を合わせてみても綻びの見えてくるのも人間だから藤
2023年5月14日 09:00
ひそやかに降り来る白き秋の風聞きつつ庭の草を取るなり青山 良子久に見る天の青さに吸われたる心の隅の小さき黒点上村 理恵子孤のつく字みな淋しいと友が言う遠き日輝く孤独ありしに児玉 南海子空気読むこと出来るらし餌やるなと書きたる駅に鳩来なくなり高田 好もて余す時間か老ら陽だまりに二人・三人また一人増す広瀬 美智子汗たりて草とるよりもなお辛し取れずして庭ながめいる身の藤峰