【エッセイ(ミニ)】深緑のワンピース
数年前の5月はじめのこと。
その日は午前中に那覇市内の某所で打ち合わせがありました。打ち合わせが終わって施設内のレストルームで鏡を見ていたら
私の隣で鏡を見ていらした60代位(に見える)の女性が
「この洋服、可笑しいかしらねっ?!」
と私にたずねてきました。
その方は
深緑の綺麗なワンピースに
シックな黒のカーディガンを着ていました。
とても素敵だったので
「いえいえ、とても綺麗なワンピースですね〜。」
と応えました。
するとその方は
①自分はある事業を担当している
②実はこれから打ち合わせがある
③打ち合わせの相手は県の担当者である
④そして今日の打ち合わせに県の許可が出るかどうかがかかっている
⑤だからとてもキンチョーしている
ということを私に早口で話し、
そのシチュエーションなので
「ワンピースで失礼だったかしら?」
と不安になって、たまたま隣にいた私に聞いてみた…とのことでした。
ワンピースですが生地も綺麗で深い緑の色は落ち着いていてカジュアルすぎるようには見えません。
「大丈夫ですよ〜。きっと上手くいきますよ~。」
とお話ししたら(何の事業かはわかりませんが)
彼女の携帯が鳴り、携帯の相手はどうやらこれから会われる方からだったようで
女性 「あっどーも!えっ?こちらの施設の場所ですか?あ、今隣にいる方 に変わりますので。」
私 (携帯を渡され)「あ、すいません、隣にいるものです。こちらの場所は・・」
と変わって場所を説明しました。
そのご婦人は笑顔で
「ありがとうね〜。頑張ってくるわね〜」
とその場を去っていきました。
…あれからその方にお会いしてませんが(あたりまえですが笑)
打ち合わせは上手くいったのかな?
深緑のワンピースを見ると時々このできごとを思い出します。
緊張が伝わるのに、なぜかその後ろ姿が私を和やかな気持ちにさせてくれた方でした。
この記事が参加している募集
サポートいただけましたら詩(エッセイ)作品集の出版費用の一部として使用させていただきます★ どうぞよろしくお願いします。